本記事では、クラウドファンディング情報からレビューまで幅広くボードゲームを発信するYouTubeチャンネル「BoardGameCo」によるレビューをもとに、大人気タブロービルド『ウイングスパン(Wingspan)』と拡張についてご紹介します。
レビュアーはBoardGameCoを運営するAlex Radcliffe(アレックス・ラドクリフ)氏です。キックスターターを中心としたクラウドファンディング情報に強く、購入者目線の率直な評価を届けるスタイルで知られています。今回のレビューでは本編に5点満点中4点を付けており、「楽しめるけど他に優先して遊ぶゲームがある」という正直な評価が参考になります。

100万部以上を売り上げたボードゲーム界の大ヒット作。「楽しいけど自分向きじゃない」という正直な視点が、むしろ「どんな人に向いているか」をはっきり教えてくれるレビューです!
結論:4点/5点。良いゲームだけど、もっと好きなゲームがある
ウイングスパンは良いゲームです。遊ぶたびに楽しいし、嫌いになったことは一度もありません。でも正直に言うと、同じタブロービルドの中で他に先に選ぶゲームがあるというのが現時点での評価です。5点満点中4点。好きですが、もっと好きなゲームがある、という意味の4点です。
メカニクスとしては文句なし。アクセスしやすく、深みがあって、プレイ体験として完成しています。ただ鳥というテーマが個人的にあまり刺さらないことと、終盤の動きが「ひたすら卵を産む」に収束しがちな点が気になっています。これはウイングスパンの欠点というより、自分の好みの問題です。
メカニクス『タブロービルド/タブロービルディング』については↓の記事が参考になります!

概要
| 参加人数 | 1〜5人 |
| プレイ時間 | 40〜70分 |
| 対象年齢 | 10歳以上 |
| 発売時期 | 2019年 |
| メカニクス | テーブルビルディング(連鎖エンジン)、カードドラフト、セットコレクション |
| ゲームデザイン | エリザベス・ハーグレイブ(Elizabeth Hargrave) |

画像引用元:Stonemaier Games公式サイト「Wingspan」紹介ページ
ウイングスパンは、野鳥観察者や研究者として鳥を自然保護区に集めることを目指すテーブルビルダーです。ゲームは4ラウンドで進み、各ラウンドのアクション数は8→7→6→5と1つずつ減っていきます。でも心配ありません。ラウンドが進むごとに手元の鳥カードが増えて効率がよくなるので、少ないアクション数でも早い回より多くのことができるようになります。

手番で選べるアクションは4種類です。「鳥カードをプレイする(餌を払って鳥を置く)」「餌を得る(サイコロを転がしたフィーダーから取る)」「卵を産む(後のプレイや得点に使う)」「鳥カードを引く」のいずれかを選びます。鳥をハビタット(行)に置けば置くほど、そのハビタットでのアクションが強くなります。最初は1個しか取れなかった餌が、ラウンドが進むと3個まとめて取れるようになったりします。

鳥カードはそれぞれ「プレイ時に発動する効果(白のアクション)」「プレイ後に毎回発動する茶色の効果」「ラウンド終了時に発動する黄色の効果」を持ちます。行動するたびに左側の鳥の能力も順番に連鎖発動するので、うまく組み合わさると「餌を得る→それを使って鳥を置く→置いた鳥の効果で卵が増える」という連鎖がどんどん気持ちよくなります。ラウンド間にはボード全体の目標タイルがあり、1〜4位で得点に差がつく競争要素もあります。
感想
タブロービルドとしての完成度は本当に高い
好きな点から言います。このゲームのタブロービルドとしての気持ちよさは本物です。3〜4ラウンドになると、1アクションで3つの効果が連鎖して「食料を得て、それで鳥を置いて、置いた鳥の効果でカードをタックする」みたいなことが起きる。その瞬間の「ああ、つながった」という快感がちゃんとあります。
しかもアクセスのしやすさと深みの両立が絶妙で、初めての人にも何度も遊んだ人にも同じように楽しんでもらえます。プレイ時間も1時間前後でちょうどいいです。
終盤が「卵産み大会」になりがちな問題
気になる点もあります。エンジンが完成した終盤、最も効率的な行動が「卵を産む」1択になることが多いんです。卵産みアクションが強化されていれば、1アクションで5点分の卵が産めます。一方、3アクションかけて5点の鳥カードをプレイしても同じ5点。効率で比べたら卵産みが明確に勝ります。
結果として最後の4〜5ターンを全部「卵産み」で終えることが正解になりやすく、正しい選択なんだけど満足感が低いという状況になります。こういうタブロービルド系のゲームに共通する問題でもあるのですが、特にウイングスパンはそれが終盤に明確に出やすい気がします。
鳥への(個人的な)関心の問題
これは完全に個人の問題なんですが、何度遊んでも鳥カードに愛着が湧きません。カードの能力は機能的で、ちゃんと「これが欲しい」と思う瞬間もある。でも、ゲームが終わっても鳥の情報が頭に残らない。
ファンタジーRPGのキャラクターなら「ドワーフの戦士」と言われれば何となくイメージできる。でも鳥は……なかなかそういかなくて。カードの能力と見た目と名前がセットで記憶に刻まれないので、毎回カードを読み直すことになります。テーマとして嫌いではないですが、自分を引き込むほどには入ってきません。これはウイングスパンの批判ではなく、純粋に好み相性の問題です。
市場とフィーダーの運について
もう一点、他のプレイヤーも感じるかもしれない気になるところとして、カード市場とフィーダーサイコロの運の問題があります。目標に合わせて特定の鳥カードが欲しいのに、ちょうどいいカードが全然出ないことがある。他のプレイヤーが自分の必要なカードを引いていく横で、手が動かせない状況は少しフラストレーションを感じます。
フィーダーのサイコロも同様で、必要な餌の種類が全然出ないとき、誰かが食材を取ってくれるのを待ちながら無駄なアクションを過ごすことがある。「1種類しか出なければ振り直せる」というルールは助かりますが、それでも詰まる局面はあります。事前に餌の多様性を確保する構成にしておくと緩和できますが、気になる方もいるかもしれません。
拡張「欧州の翼」「大洋の翼」について
●拡張「欧州の翼」
主に新しい鳥カードと、少し違った得点の取り方を増やす拡張です。新しい卵の色も追加されますが、ゲーム性に大きな変化があるというよりは、「もっといろいろな鳥で遊びたい人向け」の内容だと感じます。ウイングスパンをたくさん遊んでいて、カードのバリエーションを増やしたいなら、十分に価値があります。
●拡張「大洋の翼」
もう少しゲーム体験に踏み込んだ変更があります。新しいプレイヤーボード、新しい餌「ネクター」、それに関連する得点要素などが追加されます。ネクターはワイルドな餌として扱え、柔軟なプレイがしやすくなります。とはいえ、これらの拡張が入ったからといって、ウイングスパンそのものの本質が変わるわけではありません。どちらも「ウイングスパンが好きで、もっと遊びたい人のための追加パック」という位置づけだと感じます。
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