本記事では、世界最大規模のボードゲームレビューネットワーク「The Dice Tower」によるレビューをもとに、2026年発売の新作ボードゲーム『デワン(Dewan)』の魅力をご紹介します。キャンプを展開しながら地形を制圧するエリアプレイスメントゲームで、ルールはシンプルながら、40分でここまで考えさせてくれるのかと驚かされる作品です。
レビューを担当したのは、The Dice Towerのレビュアー・Zee Garcia(ズィー・ガルシア)氏と、Chris Ye(クリス・イェ)氏の2人です。Zeeはキューバ出身で、ティケット・トゥ・ライドとの出会いをきっかけにボードゲームの世界に入り、現在はThe Dice Towerで映像制作からレビューまでを担当するコアメンバー。

The Dice Towerの「エクセレンス・シール(優秀作品認定)」を獲得!「シンプルなのに深い」という言葉がこれほど似合うゲームも珍しいです。
結論:8.5点
Chrisとわたし、2人そろって8.5点(10点満点)です。The Dice Towerとして「シール・オブ・エクセレンス(Seal of Excellence)」を贈ります。全レビューの中でもかなり珍しい認定ですが、このゲームはそれに値すると確信しています。
10年前に出ていてもおかしくなかったし、今出ても全然古くない。他の傑作と並べても恥ずかしくない——そんな空気を持ったゲームです。Chrisとも意見が一致していました。
概要
| 参加人数 | 2〜4人 |
| プレイ時間 | 40分 |
| 対象年齢 | 10歳以上 |
| 発売時期 | 2026年 |
| メカニクス | エリア配置、ハンドマネジメント、タイル獲得 |
| ゲームデザイン | ヨハネス・グーピー(Johannes Goupy)、ヨアン・レヴェ(Yoann Levet) |

画像引用元:Space Cowboys公式サイト「Dewan」紹介ページ
デワンは、地形タイルで構成された盤上に自分の部族のキャンプ(ハット)を展開していくエリアプレイスメントゲームです。手番にできることはたった2択——カードを2枚引くか、キャンプを1つ配置するか。これだけです。

キャンプを置くには、現在いる場所から目的地まで通過するすべてのマスに対応した地形カードを支払う必要があります。キャンプを置いた場所に果実トークンがあれば獲得でき、終盤の得点源になります。また各プレイヤーは「ストーリータイル(目標タイル)」を手元に持っており、特定の地形に一定数のキャンプを置くことで達成でき、達成時に即カードを1枚引けるボーナスが発生します。

後続のキャンプを置くほど追加のボーナスが発生し、カードをタックしてカウントする地形を増やせたり、新しいストーリータイルをドラフトできたりします。ゲームの終了は最後のキャンプが置かれたとき——それを引き金に全員が最終ターンをこなして得点を集計します。水のマスを1枚の水カードでつながった水域すべて横断できるルールや、相手が先に置いたマスを通るとそのプレイヤーにカードを渡すルールなど、ちょっとした相互作用もあります。
感想
40分でここまで考えさせてくれるのか、という驚き
このゲームは40〜45分で終わります。頑張っても1時間はかかりません。でも、その時間内に詰め込まれた思考量が信じられないほど多いです。ゲームが終わった後に「もっとやれたことがあった気がする」という感覚が残るのに、実際の時間はあっという間に過ぎている。そういうゲームって、なかなかないですよね。プレイヤーの時間を尊重してくれるゲームが大好きなので、この点はもう大絶賛です。
特に2人プレイだとさらに短くなり、そのぶん「効率パズル」が前面に出てきます。狭い盤面での緊張した読み合いがとにかく楽しいです。
カード2枚を引く「どっちを隣にするか」だけで生まれる深み
カードを引くアクションも、ただ「好きな2枚を引く」ではありません。必ず隣り合った2枚でなければならないというルールがあります。「たったそれだけの縛り?」と思うかもしれませんが、これが絶妙に効いています。分析麻痺に引きずり込まれそうになる瞬間を、きゅっと引き戻してくれる仕掛けです。あのカードが欲しい→じゃあ隣はこれしかない→これでいいか、という判断が一瞬で下せる。
それでいて、カードをいつ使うか・いつ取っておいてタックに回すかという判断はちゃんと重要で、深さはしっかり残っています。シンプルさで深みを消してしまっていない、というのが本当にすごいところです。カードの価値はゲームの局面ごとに変わってくる。短いゲームなのに、ここまで考えさせてくれるとは思いませんでした。
2000年代初頭のユーロゲームへの、ちょっとノスタルジックなラブレター
このゲームを遊んで、アルハンブラやチケット・トゥ・ライドのことを思い出しました。手番にカードを取るか使うか、という単純な二択の中に良い判断が詰まっています。Chrisと話していても、同じ感覚を持っていました。
カソラ・メルコの旧作「アッティカ」(後にポニー・エクスプレスとしてリメイク)の雰囲気にも近い。カードを取って、地図に広がっていく。毎ターンが短くてテンポが良い。そういう「古き良きユーロの魂」をフレッシュなパッケージに入れ直したような一作です。10年前に出ていても全然おかしくないし、今出ても古さを感じない。そんなゲームそう多くないですよね。
気になる点:テーマが薄い、2人プレイは最初だと物足りないかも
気になる点も正直に言います。まずテーマ。アートワークは本当に美しいですが、プレイ中にその世界観に没入できるかというと……正直あまりできません。果実トークンがなぜ存在するのかよく分からないし、貝殻でも、アルファベットのAが書かれたトークンでも同じだったかもしれない。テーマに期待して遊び始めると、ちょっと肩透かしを食らうかもしれません。メカニクスで楽しむゲームだと思って入ってほしいです。
もう一点、2人プレイについて。スケールは適切に調整されていますが、初めて2人で遊ぶと「なんか盤面が寂しいな」と感じることがあります。初プレイはできれば3〜4人で試してほしいです。プレイ時間はそんなに変わりませんし、盤面の密度も増してゲームの魅力がより伝わりやすくなります。2人でも何度かやれば好きになれるのですが、最初の印象がすべてを決めてしまうこともあるので。
隣接ルールも少しクセがあります。「地形タイルがどれだけ繋がっていても、それは1つの地域として数える」というルールは、慣れるまで何度か見落とすかもしれません。でもそれも、遊んでいるうちに自然と身につくレベルです。全体としては、小さな引っかかりがいくつかあるだけで、ゲームそのものへの満足度はとても高いです。

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