ボドゲレビュー『スモールワールド』基本~拡張まで完全解説!

ボドゲレビュー『スモールワールド』基本~拡張まで完全解説! エリアマジョリティー(陣取り)

本記事では、イギリス発のボードゲームレビューチャンネル「BoardGameBollocks」によるレビューをもとに、ファンタジー陣取りゲーム『スモールワールド(Small World)』が2009年の発売から15年近く経った今もまだ遊ぶ価値があるのか、を考えてみます。

BoardGameBollocksは、「ルールを気にしすぎず、ミスを笑いながら遊ぶ」をモットーにするイギリスのチャンネルです。リリースから数年経ったゲームを改めて評価する「あの頃と今」視点のレビューが特徴で、今回は約4年前に一度レビューしたスモールワールドを再評価。「いまだに遊ぶ価値があるか?」という問いに、長年のプレイ経験から正直に答えています。

はくめー
はくめー

「昔は大好きだったけど、今はどうか」を正直に語るレビューです。発売から15年が経ったゲームを、思い出補正なしに評価する視点が面白いですよ。

結論:今から買う価値はあるか——正直「No」かもしれない

答えは「No」、です。かつてはこのゲームが大好きでした。シンプルなのに組み合わせが無数にあって、テーブルに出すたびに新鮮だった。でも今は同じ体験を、もっと豊かな選択肢で提供してくれるゲームがいくつも出てきています。ブラッドレイジ、ライジングサン、ケムマ——どれもこのゲームが持つエリアコントロールの楽しさを、より多くの選択肢と戦略の深みで届けてくれます。

スモールワールドはつまらないゲームじゃない。今遊んでも楽しい部分はたくさんある。でも「2024年に初めてこのジャンルに足を踏み入れる人に、真っ先に勧めるか」と問われたら、少し考えてしまいます。

概要

参加人数2〜5人(拡張で最大6人)
プレイ時間40〜80分
対象年齢8歳以上
発売時期2009年
メカニクスエリアコントロール、エリア移動、コンボ選択
ゲームデザインフィリップ・キーアーツ(Philippe Keyaerts)
スモールワールド

画像引用元:Days of Wonder公式サイト「Small World」紹介ページ

スモールワールドは、全員にとって「少し狭すぎる」ファンタジーの世界を舞台に、種族を選んで領土を奪い合うエリアコントロールゲームです。最大の特徴は、ゲームのたびに異なる種族と特殊能力が無作為に組み合わさる点で、「空飛ぶハーフリング」「強欲なトロール」「商人ドワーフ」など、毎回ユニークな組み合わせが生まれます。

スモールワールド 3Dボックス

ゲーム開始時、5つの「種族+特殊能力」の組み合わせが並んでいます。先頭のコンボは無料、スキップするたびにコインを1枚乗せます。コインが乗ったコンボを取ればそのぶんのコインも手に入るので、わざと魅力的なコンボにコインを積んで他プレイヤーをおびき寄せる、なんて読み合いも生まれます。

選んだ種族で領土を征服していき、1ターンに取れるのは「征服」か「衰退」のどちらかです。衰退とは自分の種族を「引退」させること。盤面のコマを1枚ずつにして灰色に裏返し、新しい種族を選び直します。衰退した種族は攻撃できませんが、保持している領土で引き続き得点をもたらします。このタイミングをどこで踏み切るかが、ゲームの一番の判断どころです。ラウンドが進むと盤面が埋まり衝突が増えていき、決まったラウンド数を終えたときに一番コインを持っているプレイヤーが勝ちます。

感想

組み合わせの多さは本物の魅力

このゲームの最大の強みは、やはり種族と特殊能力の組み合わせの豊富さです。種族より特殊能力のほうがトークン数が多く設計されているので、一度衰退した種族が戻ってくるときは必ず違う特殊能力が付いています。同じ種族を再び引いても、まったく別の戦い方になる。

「アンダーグラウンド」拡張を加えると、この組み合わせ数はさらに倍以上に広がります。バリエーションの多さが好きな人にとっては、これだけで十分な理由になるゲームです。「前と同じ展開になる」という心配が少ないのは純粋にいいことだと思います。

プレイ人数ごとのマップと、「王国」拡張の自由度

地味に好きなのが、人数ごとに専用マップが用意されている点です。「同じボードの一部を使わないようにする」という苦肉の策ではなく、ちゃんと人数に合ったサイズのマップが作られています。これが実は大事で、どの人数でも盤面の密度と衝突のタイミングが絶妙に設計されています。

もっと変化が欲しければリアルムス拡張が選択肢になります。モジュール式のヘックスタイルで盤面を自由に組み合わせられ、付属のシナリオも複数収録されています。値段もそれほど高くないので、マップのマンネリを感じ始めたら試す価値があります。

衝突が「ちょうどいいタイミング」で強制される

このゲームを遊ぶたびに感じるのが、マップが埋まるタイミングの絶妙さです。序盤は余裕があって、まずは広げてコインを稼ぐ段階がある。でもゲームが中盤に差し掛かると、誰かが衰退を始めてスペースが減り、じわじわと衝突が避けられなくなってくる。

手番ごとに「征服か衰退か」のどちらかを選ばなければいけないルールが、「じっとしている」という選択肢を消してくれます。コマットのように序盤から全力の殴り合いになるわけじゃないけど、じっくり構えたままのんびりポイントだけ稼ぐこともできない。この「ちょうどいい圧力のかかり方」はよく設計されていると思います。

気になる点①:ゲームが進むほど選択肢が細くなる

正直に気になる点も話します。このゲーム、序盤は「どの種族を選ぶか」「どこに展開するか」という判断があって、それなりに考えることがある。でも後半になると、複数の種族が衰退して盤面が埋まり、「どこに攻めるか」の選択肢がどんどん狭まっていきます。

ゲームが好きなのは、選択肢が終盤に向けて広がっていくデザインです。でもスモールワールドはその逆で、後半になるほど「ここしかない」という状況になりやすい。最悪の場合、自分の衰退した種族を自分で攻撃しなきゃいけない展開も出てきます。これが何度も遊ぶとじわじわ気になってきます。

気になる点②:強すぎる組み合わせが出ると空気が変わる

組み合わせの豊富さは魅力ですが、それが同時に弱点にもなっています。最近遊んだとき、「空飛ぶ魔術師」という組み合わせが出て、それを引いたプレイヤーが盤面のどこにでも配置でき、隣接するコマを1枚トレイから取り出して交換するという能力を連発していました。

結果として、何ターンかが「その1人が動き回って得点を集める」だけの状態になってしまいました。どの組み合わせを引くかによって、「自分が選ばなかったことで詰む」という展開が起きやすいのは、バランス面での正直な不満です。ラットのような大量トークン種族と強力な能力が組み合わされば、持っていない人はただ耐えるだけ、という場面も出てきます。

気になる点③:大人数で遊ぶときの待ち時間問題

これが一番、このゲームを今あまり遊ばなくなった理由です。ルール説明に10分しかかからないシンプルなゲームなのに、考える人が多いとびっくりするほど時間がかかります。「あの地形に行こうか、でもこっちの衰退タイミングも……山のボーナスを踏まえると……」と延々と考える人が1人でもいると、待ちながら骨と皮になっていく気分になります。

ライトゲームなのに重量級並みの思考時間が発生しやすいというのは、ゲームそのものの問題というよりプレイヤー次第でもありますが、そうなりやすい構造があるのは確かです大人数でサクサク遊べるゲームを探しているなら、ここは要注意かもしれません。

ABOUT REVIEWER

BoardGameBollocks

「ルールミスを気にせず楽しむ」をモットーにするイギリス発のボードゲームYouTubeチャンネル。レビューとプレイスルーを週1〜2本のペースで4K映像で公開している。正式なルールより「楽しく遊べるか」を優先したカジュアルなスタンスが特徴で、数年前にレビューしたゲームを改めて評価する「再訪レビュー」も行っている。

レビュー担当:BoardGameBollocks

BoardGameBollocks(YouTube)

約4年ぶりの再評価として今回のレビューを行い、「昔は大好きだったが、今は他のゲームを優先する」という率直な結論を下している。長期的な視点でゲームの価値を語るスタイルが信頼を集めている。

▶ BoardGameBollocks(YouTubeチャンネル)

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