この記事では、Dice TowerのTom Vassel、Wendy Yi、Chris Yeeの3人が「ウィンドミル・バレー」をレビューした動画をもとに、ゲームの内容と感想を詳しくご紹介します。

Board&Diceの中重量級ユーロゲームを3人がどう評価したのかをぜひご覧ください。
結論:3人全員が8/10点
Tom、Wendy、Chris の3人全員が10点満点中8点を付けました。いくつかの気になる点を挙げながらも、全員がゲームそのものをとても楽しんでいます。
Board&Diceはここ数年好調が続いており、ウィンドミル・バレーはその流れを受け継ぐ一作です。
ゲームの概要
| 参加人数 | 1~4人 |
| プレイ時間 | 45~90分 |
| 対象年齢 | 14歳から |
| 発売時期 | 2024年~ |
| メカニクス | ロンデル/プレイヤー別固有能力 |
| ゲームデザイン | ダニ・ガルシア(Dani Garcia) |

ウィンドミル・バレーはBoard&Diceから発売された中重量級ユーロゲームです。
ゲームのデザイナーはDanny Garciaで、デザイナーの作品の中ではウィンドミル・バレーはプレイヤー間のインタラクションが少ない設計になっており、この点がデザイナーの前作たちとの大きな違いのひとつとして挙げられていました。

ゲームの重さについては「思ったより中量級」という印象を持ちました。同作者の「ニュークレウム」は本当に重かったし、「バルセロナ」も相当な情報量がありましたが、ウィンドミル・バレーはターンごとの手順が4ステップに整理されており、最初の2ステップが水位の調整、残りがアクションと手番終了処理と、教えたときに「あ、もう説明終わり?」という感覚になるほど構造がシンプルです。ただし、一般的なボードゲーマーに「中量級」と紹介すると少し戸惑われる可能性もあると感じています。

チューリップは5色あり、それぞれ異なる希少性を持っています。コンポーネントとしてアクションホイール(歯車)の出来が特に素晴らしく、実際に回転して気持ちよく動作します。チューリップコマは木製でも良かったかなと思いつつも、厚めのボール紙製でそれほど不満はない水準です。

一方、プレイヤーエイドカードが付属していない点は大きな問題点として挙げられました。カードに描かれたキャラクターの能力をルールブックで調べる際、カードにはキャラクターの絵しか載っておらず、ルールブックにはそのキャラクターの名前で記載されているため、どのカードがどの能力なのかが非常に探しにくいです。
感想
アクションホイールの独自性と「マラカイボ感覚」
このゲームで一番好きなメカニクスはアクションホイール(歯車)です。自分のターンに歯車を回して、止まったところのアクションを選んで実行します。
歯車は自分でアップグレードして好きな形に育てていくことができ、左右が5つと6つのスロットに分かれているため完全には一致せず、毎回異なるアクションの組み合わせが現れます。
これが「マラカイボ」の個人ボードを操作する感覚と似ており、自分のターンに「1マス動かそうか、2マスにしようか、いや3マスがいいか」と考えるだけで楽しいです。
コンボが決まったときの気持ちよさ
アクションが連鎖してコンボが決まる瞬間がとても気持ちいいです。「この風車を建てたら、そのボーナスで別のアクションができて、さらにそこからチューリップを植えて得点になる」というチェーンが発動すると本当に楽しい。
アクション自体はシンプルなのに、つながると爆発的な手番になります。
チューリップの栽培と植樹のサイクルが楽しい
マーケットの丸いロンデル部分で茶色いディスクを動かしながら、チューリップを育てて植える流れがとても楽しいです。
「正しい色のチューリップを正しいタイミングで揃えてボードに植える」というサイクルを作り上げることに達成感があります。
ボードは横一列を同じ色で埋めると高得点、縦に同じ色が2枚以上並ぶと減点というルールがあるため、多様性を意識しながら配置を考える必要があります。
このパズル的な要素が楽しくて、外国貿易アクションで「2アクションを取るか、チューリップをまとめて取るか」という選択もいつも悩ましいです。
戦略の幅の広さ:自分だけのプレイスタイルを作れる
このゲームには複数の戦略があり、「貿易ドックには一切行かず、アップグレードで埋めて風車だけに集中する」という特化型の戦略も成立します。
カードは上部にさすと特殊能力として使え、下部にさすとゲーム終了時の得点源になるという二重の使い道があり、自分のスタイルに合わせて使い方を変えられます。
またアクションホイールの方向性も人それぞれで、プレイヤーごとに完全に異なるホイール構成になっていきます。
風車の配置場所も人によってまちまちで、全体的にプレイヤーごとに異なるゲーム体験が生まれる非対称性が魅力です。
水位システムへの違和感
いくつかの不満点のうち、特に気になったのが水位管理システムの複雑さです。水位を上げると歯車の移動量が増えるかわりにコストがかかる、水位を下げると得点が得られるという仕組みなのですが、「なぜこのメカニクスが必要なのか」という疑問が拭えませんでした。
ゲームになれてくれば自然と意識しなくなりますが、ティーチングの際に最もわかりにくく感じた部分で、「ツールトークンだけで代用すればよかったのでは」という意見も出ました。
多くの場面では1マスだけ動かすことが多く、3マス動かせる状況を作ったとしても次のプレイヤーにすぐ下げられてしまうことが多く、テーブル全体で盛り上がるような要素にはなりにくかったです。
プレイヤー間のインタラクションが薄い
プレイヤー間のインタラクションが薄く、基本的にはほぼマルチプレイヤーソリティア(個人プレイの集合)に近い感覚があります。
唯一の目立ったインタラクションは、他プレイヤーの風車の隣に自分の風車を建てると前のプレイヤーにボーナスが入る点と、タイマートラックで誰かが先を行くと焦りを感じる点ですが、どちらも「弱いインタラクション」の域を出ません。
これ自体を問題とは思っていませんが、デザイナーの前作と比べると物足りなさを感じる部分です。
リソース管理のシンプルさが「少ないもので多くを語る」設計を実現
このゲームで特に感心したのが、リソースがチューリップ・コイン・ツールトークンの3種類しかなく、それでいてゲームとして非常に奥深い体験を実現している点です。
多くのアクションが無料か1〜2コインで済むため、「このコインを使ったら次のコンボが回せなくなる」という緊張感がそのまま残ります。
少ないリソースで最大の効率を引き出すことを考えさせるデザインが、とても洗練されていると感じます。Board&Diceのラインナップの中では少しライトめで遊びやすいですが、それでも十分な深みがあります。


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