ボドゲレビュー『ウェーブレングス』パーティーゲームの鉄板

ボドゲレビュー『ウェーブレングス』パーティーゲームの鉄板 ベッテング(賭け)

本記事では、イギリス発の独立系ボードゲームレビューメディア「Shut Up & Sit Down(SU&SD)」によるレビューをもとに、パーティーゲームの傑作『ウェーブレングス(Wavelength)』をご紹介します。

レビューを担当したのはSU&SDのMatt Lees(マット・リース)氏です。WavelengthはMatt本人がビジネス上の関係を持つチームが制作に関わっているゲームです。「ウェーブレングスは本当に素晴らしく、ホビー全体のためにこのゲームについて語らないのは不誠実だと感じた」という正直な告白とともに、それでもレビューする判断をしています。この透明性がSU&SDらしさです。

はくめー
はくめー

「ゲームを知らない人に渡したら翌日も勝手に遊んでいた」——これがウェーブレングスの本当の実力です。見た目のインパクトとゲームの深さが完璧に噛み合った一本!

結論:パーティゲームの皮をかぶった、最高の社交体験

これを遊んだことのない人全員にすすめます。条件なしです。

ウェーブレングスはパーティゲームとして完璧ですが、本当の魅力はもっと深いところにあります。これは「ゲームに興味のない人を、自然に最高の社交体験に引き込むトロイの木馬」です。

スコアを付けなくても、チームを作らなくても、気づいたら全員が夢中になっている。そういうゲームです。

概要

参加人数2〜12人
プレイ時間30〜45分
対象年齢14歳以上
発売時期2019年
メカニクス協力プレイ/ベッティング/チーム戦/言葉遊び
ゲームデザインアレックス・ヘーグ(Alex Hague)、ジャスティン・ヴィッカーズ(Justin Vickers)、ヴォルフガング・ヴァルシュ(Wolfgang Warsch)

画像引用元:CMYK公式ショップ『Wavelength』商品ページ

ウェーブレングスは、2チームに分かれて互いの思考を読み合うパーティーゲームです。各ラウンドで1人が「サイキック」となり、丸いダイヤルを回して「得点ゾーン」の位置を自分だけ確認します。次にカードをめくると「冷たい↔熱い」「フィクション↔ノンフィクション」といった対概念のスペクトラムが表示されます。サイキックはそのスペクトラム上のどこに得点ゾーンがあるかを、ただ1つのヒントワードで伝えなければなりません。

チームメンバーはそのヒントをもとにダイヤルを動かして「ここだ」という位置を決め、相談しながら微調整を繰り返し、最終的な答えを出します。得点ゾーンの中心に近いほど高得点。さらに相手チームが「実際の答えはもっと左か右か」を当てると追加ポイントが入ります。10点先取したチームが勝利です。

ルールはこれだけです。1ゲーム30〜45分で終わり、セットアップは箱からダイヤルを取り出してカードを置くだけです。

感想

箱を開けた瞬間に人を引き込む

このゲームの最初の一手は、箱を開けることです。キラキラした外装から大きなダイヤルが出てくる瞬間に、その場の全員が「なんだこれ」という顔をします。説明を始める前に、すでに興味を引いている。これはすごいことで、ゲームになじみのない人を引き込む最初のハードルを、このゲームは見た目だけで超えてしまいます。

設定する側が説明に手間取っている間も、みんながぽかんと口を開けて「なんか始まる」という顔で待っている。そういうゲームはなかなかないです。

「合意に至るプロセス」が楽しいゲーム設計

チームで答えを決めるとき、最初は全員がバラバラな方向を指します。「熱い↔冷いのスペクトラムで、ヒントが『太陽』なら……かなり熱い側だよね」「でもこの人のことだから、太陽を少し冷めたものとして捉えているかもしれない」——そういう議論が生まれます。

最終的に全員が少しずつ譲り合ってダイヤルの位置が決まる——その「微調整と合意のプロセス」が、このゲームで一番楽しい時間です。答えが外れたときでも、「あ、自分がもっと右を主張すればよかった」という後悔と笑いが生まれる。その外れ方自体が面白いから、失敗しても気持ちよく終われる。これはパーティゲームとして非常に重要なことです。

「ゲームとして弱いが、体験として最強」という逆説

正直に言います。ウェーブレングスは「ゲームとして」は弱いです。チームスコアが10点に達したら終わりで、そこに戦略的な深みはありません。先取点を狙って効率を最大化しようと思っても、そんな余地は薄い。

でも——それが問題にならないのがこのゲームの不思議なところです。何度も遊んできて、ゲームを知らない人に渡して帰ってきたら翌日「昨日も遊んだ。スコアはつけなくなったけど」という連絡が来ることがありました。スコアをつけるのを忘れて、ただ会話を楽しんでいた。

知らない人と遊んでも、親しい人と遊んでも楽しい

このゲームの特別なところは、どちらの状況でも機能することです。仲のいい友人と遊べば「あなたの考え方は知ってるから、絶対これは右寄りに置いてる」という読み合いが楽しい。知らない人と遊べば「この人はどういう価値観を持っているんだろう」という発見が楽しい。

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ABOUT REVIEWER

Shut Up & Sit Down(Matt Lees)

2011年創設のイギリス発ボードゲームレビューメディア。現在の登録者数45万人超、再生回数1億回を誇る業界最大規模の独立系チャンネルのひとつ。パブリッシャーからの広告報酬を受け取らず、視聴者支援のみで運営を続ける姿勢と、ドライなユーモアと鋭い批評を融合させたスタイルで高い信頼を獲得している。

レビュー担当:Matt Lees(Shut Up & Sit Down)

Shut Up & Sit Down(YouTube / shutupandsitdown.com)

本レビューでは制作陣とのビジネス上の関係を冒頭で明示したうえで評価を行うという、SU&SDらしい誠実な姿勢が示されている。「それでもレビューしないのはホビーへの不誠実だ」という判断で公開した動画で、ゲームへの愛情と批評家としての誠実さが両立している。

▶ Shut Up & Sit Down(YouTubeチャンネル)

▶ shutupandsitdown.com(公式サイト)

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