本記事では、「すべての動画を10分以内」をモットーにするボードゲームYouTubeチャンネル「Quack&Co」による、文明発展ゲームの金字塔『スルー・ジ・エイジズ(Through the Ages: A New Story of Civilization)』のレビューをご紹介します。
Quack&CoはKellen(Quackalope)とAlex(BoardGameCo)によるコラボチャンネルで、クラウドファンディング情報からレビューまでを10分以内のテンポよい動画で届けるスタイルが特徴です。今回のレビューは「Should You Play(あなたは遊ぶべきか?)」という新シリーズの一本で、3つの「遊ぶべき理由」と3つの「遊ばない方がいい理由」を率直に整理しています。BGGでトップ100に入るこのゲームを「箱を3年積んだままだった」という正直な立場から初プレイして評価した点が面白いです。

「積みゲー3年→初プレイ→待った甲斐があった」という体験談が刺さります。「でもあなたにとってどうか?」という問いが、このレビューの核心です。
結論:3年積んで正解だった——でも「あなたが遊ぶべきか」は別の話
3年間積んだままだったこのゲームを、ようやく初めて遊びました。結論としては、待った甲斐がありました。BGGトップ100に入るだけのことはある、重厚で充実した体験でした。
でもこれは「自分にとって」の話です。このゲームが面白いかどうかではなく、「あなたが遊ぶべきかどうか」を決める条件がある、というのがこのレビューで一番伝えたいことです。その条件を正直に3つずつ整理します。
概要
| 参加人数 | 2〜4人 |
| プレイ時間 | 120分以上 |
| 対象年齢 | 14歳以上 |
| 発売時期 | 2015年(新版) |
| メカニクス | カードドラフト、タブロービルディング、リソース管理、文明発展 |
| ゲームデザイン | ヴラーダ・フヴァティル(Vlaada Chvátil) |

画像引用元:Czech Games Edition公式サイト「Through the Ages」紹介ページ
スルー・ジ・エイジズは、古代から現代まで複数の「時代」を経て自分の文明を発展させるカードドラフト型の戦略ゲームです。農場や鉱山を拡張してリソースを確保し、テクノロジーを研究して都市を建設、偉大なリーダーを選んで七不思議を建て、軍事力で政治的優位を保ちながら、最終的に文化値で勝敗を決します。

毎ラウンド、年代カードが並んだカード列から科学ポイントを使ってカードを購入します。テクノロジーカード・政府カード・リーダー・七不思議・軍事カードと幅広い種類があり、何を優先するかが文明の方向性を決めます。ほぼすべてのカードが科学ポイントを消費するため、科学力の確保は最優先事項のひとつです。

ゲームの独特な仕組みとして「イベントデッキ」があります。プレイヤーは自分の行動でイベントカードをデッキに「仕込み」、後のラウンドでそれが発動して得点やペナルティをもたらします。いつ発動するか完全には見えないため、50%近くの得点がゲーム終盤の仕込み次第で決まります。また軍事力を使って他プレイヤーに挑戦したり、外交条約を結んで互いに利益を得たりするインタラクション要素もあります。
感想
遊ぶべき理由①:文明ゲームが好きなら、このジャンルの頂点かもしれない
シドマイヤーズ・シビライゼーション(PCゲーム)が好きな人なら、このゲームは直感的に刺さると思います。経済生産を積み上げ、軍備を整え、七不思議を建てていく感覚がそっくりです。拡張も含めると、このジャンルのゲームとして深さ・テーマ性・ユーロメカニクスの絡み具合、どれをとっても最高峰クラスのゲームです。3〜4時間にわたるプレイの全時間が「考えて、選んで、手応えを得る」体験で満たされています。
遊ぶべき理由②:公式アプリが「入口」として機能する
このゲームには公式のデジタルアプリがあります。ルールを覚えながらAI対戦できて、物理ゲームより気軽に始められるのが強みです。「仲間を集めにくい」「ルールを先に体で覚えたい」という方には、まずアプリで試すことを強くすすめます。アプリで遊んでから物理版に移行すると、テーブルに展開したときの感動もひとしおです。アプリがあることで、このゲームへの入口のハードルがかなり下がっています。
遊ぶべき理由③:「月に1回のグレイルゲーム」として機能する
月1回、このゲームのためにグループを集める価値が生まれる。それを「重い」と感じるか「楽しみ」と感じるかで、このゲームとの相性が決まります。同じ仲間と繰り返し遊ぶほど、戦術の深さと読み合いの面白さが増していきます。
遊ばない方がいい理由①:4〜5時間を共有できる仲間がいない
正直に言います。このゲームを3人で遊ぶと、インスト込みで4〜5時間かかります。「早ければ3時間」とも言われますが、それは全員がスムーズに動ける熟練者での話です。4〜5時間を定期的に確保できる固定メンバーがいないなら、物理版のテーブルゲームとしては出番が限られてしまいます。そういう環境がないなら、アプリの方がずっと現実的です。
遊ばない方がいい理由②:細かいリソース管理が苦手なグループには厳しい
このゲームはキューブをひたすら動かします。支払いのたびに、生産のたびに、毎回少量のキューブをスライドさせる処理が続きます。二重底ボードも追加サポートもないので、グループに「キューブを取り忘れる人」「ルールをよく間違える人」がいると、ゲームが何倍も長くなります。
全員が自分のエンジンを効率よく回せることが、テンポよく遊べる前提条件です。一人がハンドホールドされながら進むと、全体の時間感覚が崩れます。
遊ばない方がいい理由③:「リザイン(降参)」の存在を覚悟する
このゲームには「リザイン」というアクションがあります。ゲームを途中で降参する選択肢です。なぜそんな仕組みがあるのかというと——序盤で経済が崩れると、立て直すのが本当に難しいからです。2〜3時代目の中盤で「あ、これはもう詰んだかも」と気づくことがある。正式なゲーム終了まで残り1〜2時間あっても、実質的には勝負が決まっている状態でプレイし続けることになります。
これはゲームの欠点というより、重量級ゲームの本質でもあります。でも「4時間かけて最後まで追い詰められたまま終わるかもしれない」という覚悟は、グループで共有しておいた方がいいです。そういう展開でも楽しめる仲間と遊ぶのがベストです。


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