深層心理の世界を描く珠玉のユーロゲーム『Unconscious Mind』レビュー
『Unconscious Mind(アンコンシャス・マインド)』は、フロイト時代の精神分析をテーマにした重厚なボードゲームです。この記事では、Dice Towerのレビュー動画「Leggo My Ego」を元に、ゲームの雰囲気、テーマ、遊び心地、評価を徹底解説。美麗なアートと洗練されたゲーム性の融合を求める方に、特におすすめの作品です。ゲーム概要:精神分析と夢解釈をベースにしたユーロゲーム
『Unconscious Mind』は、Fantasia Gamesが手がけた中重量級ユーロゲームで、プレイヤーは精神分析家となり、クライアントの夢や心の傷(グリーフ)を治療していきます。
プレイヤーはワーカープレイスメントとカードプレイを通じて、患者の症状を和らげ、治療を進め、研究を発展させて名声を高めていきます。ゲームは複数のシステムが絡み合いながらも、直感的に進行できるよう設計されており、「テーマ重視のユーロゲーム」というジャンルにおける新たな到達点といえる作品です。
レビューで高く評価されたポイント
Dice Towerの3人(Chris、Camilla、Mike)は口を揃えて本作を絶賛し、全員が10点中9点を付けています。以下では、その理由を詳しく紹介します。
① ビジュアルとテーマの圧倒的融合
アートワークはAndrew BosleyとVincent Dutraitという2名の有名アーティストが手掛けており、夢の世界と現実の世界を視覚的に分離・融合させています。
特に「グリーフレイヤー(悲しみの層)」を透明なアクリル素材で再現し、治療を進めることでそのレイヤーが除去されるというギミックは、テーマとの強い結びつきを感じさせます。見た目の美しさだけでなく、ゲームプレイとアートが一体となっている点が高く評価されました。
② ルールの複雑さと理解のしやすさの絶妙なバランス
ゲームは一見複雑に見えるものの、実際には「ターンにできることは3つのみ」と非常に明確。そのうちの1つを選ぶことで、複数の効果が連鎖(コンボ)していく構造になっており、遊ぶたびに新しいパターンと発見がある作りになっています。
Mikeは「複雑さはコンボの連鎖にあり、ルール自体は中重量級ユーロとしては比較的わかりやすい」と述べており、Chrisも「教えるのが億劫にならない」と述べています。
③ ゲーム体験の成長感と満足度
プレイヤーがラウンドを重ねるごとに、リソース生産や治療、研究の効率が向上し、「経験を積んでいる実感」が得られる構成が秀逸です。
Camillaは、「ダンジョンクロウラーでパワーアップしていく感覚が、ここでは“熟練する”という形で再現されている」と例えており、この“成長の手応え”こそが本作の大きな魅力とされています。
レビューで挙げられた弱点・注意点
① テーブルスペースの広大さ
本作はコンポーネントが多く、最大4人プレイ時には「個別プレイヤーボード+中央ボード2枚+カード+トークン類」で大きなテーブルが必須です。Chrisは「ゲームを持ってきてくれるのはありがたいが、テーブルも一緒に持ってきてほしい」と冗談交じりに語っています。
② ルールブックの構成が分かりにくい
ルールブックは決して悪いものではないが、「コンセプト先行で構成されており、実際のルールを探しにくい」「重要なルールが例示ボックスと同じ緑色で囲われており、見落としやすい」などの構成上の問題が指摘されました。
③ 所要時間がやや長め
箱には「60〜120分」と書かれていますが、実際には初回プレイでは2時間以上かかることもあるとのこと。特にプレイヤーが増えるとダウンタイムも長くなり、4人プレイは非推奨。2〜3人でのプレイが推奨されています。
総合評価とおすすめポイント
Dice Towerの3人はいずれも9/10の高評価をつけており、「非常に完成度が高く、テーマと仕組みが見事に融合している作品」として太鼓判を押しています。以下のような方に特におすすめです:
- テーマ重視で没入感あるユーロゲームを求める方
- アートワークと世界観が強く結びついたゲームが好きな方
- 中〜重ゲー好きで、コンボ構築型のシステムが好きな方
逆に、軽量級ゲームを好む方や、広いテーブルを確保できない環境の方には注意が必要です。
まとめ:
『Unconscious Mind』は、心理学という一見とっつきにくいテーマを美しく、かつゲーム的にも洗練された形で表現した傑作です。成長感・連鎖性・アート・コンポーネントと、現代ユーロゲームに求められるすべての要素が高水準でまとまっており、Dice Towerが全員9点というのも納得の出来栄え。2024年屈指の中重量級ゲームとして、強くおすすめできる一作です。
この記事は、Dice Towerによるレビュー動画「Unconscious Mind Review – Leggo My Ego」の内容を基に構成・要約したものです。
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