ボドゲレビュー『エルグランデ』バチバチした陣取りの古典的名作

ボドゲレビュー『エルグランデ』バチバチした陣取りの古典的名作 エリアマジョリティー(陣取り)

エリアマジョリティ系ボードゲームの古典として語られる「エルグランデ」。今回の記事では、ボードゲームレビューで有名なチャンネル「The Dice Tower」の動画「El Grande Review – The King is Dead, Long Live the King」から、現行の新版エルグランデがどんなゲームなのか、感じた魅力やプレイ感を、レビュアー目線でまとめていきます。

はくめー
はくめー

ほぼ30年前の作品でありながら、今のボードゲームシーンの中でも埋もれない存在感を放つ理由や、リメイク版で感じた良さ、そして少しだけ古さも感じる部分まで、率直に書いていきます。

結論:今でも十分遊べるエリアマジョリティの名作

エルグランデを俯瞰してみると、まず強く感じるのは「古典なのに、今遊んでもちゃんと面白い」ということです。エリアマジョリティという仕組み自体は今では珍しくありませんが、エルグランデはその中でもとても素直で分かりやすく、それでいてジワジワ効いてくるような駆け引きが詰まっています。

一方で、カードのめくれ運や、強いプレイヤーが狙われやすい「古き良きユーロ感」もはっきり残っていて、そこに時代を感じる部分もあります。それでも、そうした要素を含めて「これぞエリアマジョリティの原点」として楽しめるゲームだと感じました。

新版のコンポーネントもとても遊びやすく、今から手に入れてもまったく遅くない一作だと思います。

概要

参加人数2~5人
プレイ時間90分前後
対象年齢12歳から
発売時期2024年~(新版), 旧版は1995年
メカニクス エリアマジョリティ/ドラフト
ゲームデザイン ヴォルフガング・クラマー(Wolfgang Kramer)

エルグランデは、スペインの各地域に自分の駒(カバレロ)を配置し、エリアごとの多数派を争うエリアマジョリティゲームです。ゲームは全9ラウンドで進行し、3ラウンドごとに得点計算が行われます。

最終的に、各エリアでの得点と、特殊なエリアである「カスティーヨ」などの得点を合計し、もっとも高いプレイヤーが勝利します。

各プレイヤーは、自分の「プロヴィンス」(未使用のカバレロのストック)と「宮廷」(今ラウンドで使えるカバレロ)を持っています。ラウンドの最初に「パワーカード」を1枚選び、これが手番順と、そのラウンドで宮廷に補充できるカバレロの数を決めます。数字が大きいカードほど手番は早くなりますが、補充できるカバレロの数は少なくなりがちです。

手番が来たプレイヤーは、場に並んだ5枚のアクションカードのうち1枚を選びます。アクションカードには、上段に特殊効果、下段に「このラウンドでボードに配置できるカバレロの数」が書かれています。特殊効果で駒を移動させたり、特定のエリアだけを得点したり、カスティーヨに駒を入れたりと、さまざまなことができます。

ボード上には「王(キング)」がいて、カバレロを配置できるのは王のいるエリアに隣接した地域のみという制限があります。王がいるエリアには直接干渉できず、そのエリアは一種の「聖域」のような扱いになります。また、ボード外の立体パーツ「カスティーヨ」に駒を入れておき、得点計算時にどのエリアへ落とすかを秘密裏に選ぶ、という要素もあります。

感想

シンプルなのに、常に悩まされるエリアマジョリティ

エルグランデのルール自体はそこまで複雑ではありません。やっていることは、「どのエリアに何人のカバレロを置くか」という一点に集約されています。それなのに、実際にプレイしていると、毎ラウンドの選択がとても重く感じます。

「ここでトレドに駒を集中させれば大きな点数が狙えるけれど、他のプレイヤーに狙われやすくなる」「今はあえて2位を狙って、次の得点計算で一気にひっくり返したい」など、どのエリアにどれだけ力を入れるかを考える時間が本当に楽しいです。

特に、得点計算のタイミングが決まっているので、「今は仕込みのターン」「ここは勝負どころ」といったメリハリがはっきりしていて、ゲーム全体の流れがとても気持ちよく感じました。

王の位置が生む、独特の締め付け感

エルグランデの中で特に印象に残るのが、王の存在です。王がいるエリアには手を出せず、駒を置けるのは王に隣接した地域だけというルールが、プレイ感にかなり強い影響を与えています。

「ここに駒を置きたいのに、王が遠くて届かない」「このエリアを守りたいのに、王がいるせいで何もできない」といったもどかしさが、良い意味でのジレンマになっています。逆に、自分が王を動かすアクションを取れたときは、「ここに王を移動させれば、他のプレイヤーの動きをかなり制限できる」といったコントロール感も味わえます。

王の位置をめぐる読み合いは、エリアマジョリティのゲームに「空間的な制約」というもう一段階のレイヤーを加えていて、単純な数の勝負だけではない面白さを生んでいると感じました。

カスティーヨと秘密の配置が生む、最後のひと押し

カスティーヨの存在も、エルグランデの大きな魅力のひとつだと感じました。カスティーヨはそれ自体も得点対象のエリアであり、さらに得点計算のタイミングで「どの地域に駒を落とすか」を秘密裏に選べる仕組みになっています。

この仕組みのおかげで、得点計算の直前まで「どのエリアが最終的にどうなるか」が読み切れません。「あの人はきっとここに落としてくるだろう」「自分はこのエリアを強化したいけれど、他の人も同じことを考えているかもしれない」といった読み合いが生まれ、得点計算の瞬間に一気に盤面が動くのがとてもドラマチックです。

カスティーヨから駒が一斉に落ちてくる瞬間は、物理的にも視覚的にも盛り上がるポイントで、「ここでこんなに入っていたのか!」という驚きとともに、一気に状況が変わるのがとても気持ちよく感じました。

新版コンポーネントの良さと、ちょうどいい“おもちゃ感”

新版エルグランデのコンポーネントは、個人的にかなり好みです。まず、箱のサイズが現代的な標準サイズになっているのがとてもありがたいです。昔の巨大な箱も味はありますが、棚に並べることを考えると、今のサイズ感のほうが圧倒的に扱いやすいと感じました。

色合いも、いわゆる「ベージュ系ユーロ」の雰囲気を残しつつ、古臭さを感じさせないデザインになっていると感じます。駒がキューブではなくミープルになっているのも、見た目の楽しさという意味で嬉しいポイントです。

特に気に入ったのが、カスティーヨの作りです。底がしっかり付いていて、中身が見えないようになっているうえに、ゲートを開けると駒が一気に落ちる仕掛けになっています。このちょっとした“おもちゃ感”が、重めのユーロゲームの中に良いアクセントとして効いていると感じました。

ランダム性と「古さ」をどう受け止めるか

一方で、エルグランデにははっきりと「古さ」を感じる部分もあります。そのひとつが、アクションカードのめくれ運です。ラウンドごとに並ぶアクションカードはランダムで、どのタイミングでどの効果が出てくるかは事前には分かりません。

「このラウンドは早い手番を取りたい」と思って高いパワーカードを出しても、並んだアクションカードが自分の思惑に合わないこともあります。逆に、「ここは後手でもいい」と思っていたのに、強力なカードが並んでしまい、「今に限って先に取りたかった」と感じることもあります。

また、強いプレイヤーが狙われやすく、リードしていると他のプレイヤーから集中攻撃を受ける展開も起こりやすいです。自分が優勢に立ったと思ったら、次のラウンドで一気に駒を戻されたり、配置を崩されたりすることもあります。このあたりは、今のゲームと比べるとかなり「容赦ない」作りだと感じました。

ただ、自分としては、この少し荒っぽいバランスも含めてエルグランデの味だと感じています。「完璧にコントロールできないからこそ、毎回違う展開になる」「理不尽さも笑いながら受け止めるタイプのゲーム」として楽しむと、とても心地よく遊べると感じました。

小さなモジュールで、遊び方を少しだけ広げられる

新版には、いくつかの小さなモジュールも含まれています。パワーカードの数字を±1や±2できる調整カードや、少し攻撃的な効果を持つ追加アクションカード、そして王を動かすカードを差し替えるためのバリエーションカードなどです。

これらはどれも「ゲームの本質を変えない範囲で、ちょっとだけ味付けを変える」程度のもので、個人的にはこの控えめな追加要素がとても好印象でした。特に、王の動かし方が変わるカードは、盤面の締め付け方や、エリアの価値の変動に新しいパターンを生み出してくれそうで、何度か遊んだあとに試してみたくなる内容だと感じました。

一方で、「キング&イントリガント」のような、より大きくゲーム性を変える拡張は含まれていないので、そこを期待していると物足りなさを感じるかもしれません。ただ、自分としては、まずはこの新版だけで十分に遊び込めると感じました。

総評:クラシックなエリアマジョリティを味わいたいなら、一度は触れておきたい一本

エルグランデは、エリアマジョリティという仕組みを、シンプルかつ濃密に味わえる古典的名作だと感じました。王の位置による制約、カスティーヨの秘密配置、アクションカードの効果、そして得点計算のタイミングが組み合わさって、毎回違うドラマが生まれます。

ランダム性や「狙われやすさ」といった古さも確かにありますが、それを含めて「みんなでワイワイ言いながら遊ぶエリアマジョリティ」として楽しむと、とても満足度の高いゲームだと感じました。新版のコンポーネントも扱いやすく、今から遊び始めてもまったく遅くない一作です。

クラシックなユーロゲームが好きな人、エリアマジョリティの原点に触れてみたい人、そして少し荒っぽい駆け引きも笑って受け止められる人には、エルグランデを一度は遊んでみてほしいと強く感じました。

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