「アルナックの失われし遺跡」は、デッキ構築とワーカープレイスメント、そして遺跡探索というテーマが組み合わさった、見た目もプレイ感もとても魅力的なボードゲームです。
この記事では、動画「Lost Ruins of Arnak Board Game Review」をもとに、概要と実際に遊んだときの良い点・気になった点・どんな人に向いているかを、主観的なレビューとして詳しくまとめています。
結論:とても「よくできた」ゲームだが、決定的な一歩はもう少し
アルナックの失われし遺跡は、総合的に見て「とてもよくできたユーロ寄りのデッキ構築+ワーカープレイスメントゲーム」だと感じます。コンポーネントの質、アートワーク、テーマとメカニクスの噛み合い、プレイの安定感、どれを取っても高水準です。プレイ後に「もう一回やりたい」と素直に思えるタイプのゲームであり、多くの人に安心して勧められる作品です。
一方で、「強烈な驚き」や「他にはない決定的な個性」という意味では、少しおとなしい印象もあります。ゲームとしての完成度は高いものの、「これがあるから絶対にこのゲーム!」とまで言い切れる一撃のような要素はやや控えめです。
そのため、自分の中では評価としては「とても良い(really good)」に収まり、「最高傑作」とまではいかない位置づけになっています。
↓の記事で拡張について詳しくレビューしています!
概要
| 参加人数 | 1~4人 |
| プレイ時間 | 30~120分 |
| 対象年齢 | 12歳から |
| 発売時期 | 2020年~ |
| メカニクス | ワーカープレイスメント/デッキビルディング/ハンドマネジメント/ドラフト |
| ゲームデザイン | エルウェン(Elwen)/ミン(Mín) |
アルナックの失われし遺跡は、デッキ構築とワーカープレイスメントを組み合わせたゲームです。プレイヤーは探検隊を率いて「アルナック」と呼ばれる失われた島を探索し、遺跡を発見し、モンスターと戦い、研究を進めていきます。ゲームは全5ラウンドで進行し、最終的に最も多くの勝利点を獲得したプレイヤーが勝利します。
得点源は主に3つあります。
・獲得したカード(アイテムやアーティファクト)
・研究トラックの進行状況
・討伐したモンスター
各ラウンドでは、プレイヤーは手札のカードを使いながら、ワーカーをボード上のマスに配置したり、新しい遺跡を発見したり、モンスターと戦ったり、研究を進めたりします。メインアクションは1手ずつ交互に行い、その合間にカードやアシスタントに描かれた「稲妻マーク」のボーナスアクションを好きなだけ挟むことができます。全員がパスするとラウンド終了となり、5ラウンド目の終了時にゲームが終わります。
ゲーム中は、資源(コンパス、石板、宝石、コインなど)を集め、それを使ってカードを購入したり、新たな遺跡を開拓したり、研究トラックを進めたりします。どのタイミングでどの行動に資源を使うか、そのバランスが勝利への鍵になります。



引用元:https://www.czechgames.com/games/lost-ruins-of-arnak
感想
コンポーネントとアートワークの完成度がとても高い
まず強く印象に残るのは、コンポーネントとアートワークのクオリティです。ボード全体のデザイン、カードのイラスト、小さなトークン類まで、どれも非常に美しく作られていて、テーブルに広げた瞬間に「おおっ」となります。特に赤や青のトークンなどは見た目も手触りも良く、物理的な満足感が高いゲームだと感じます。
テーマとメカニクスの噛み合いは「心地よいレベル」で存在する
テーマとしては「インディ・ジョーンズ風の遺跡探索」がベースになっており、モンスターと戦ったり、遺跡を発見したり、研究を進めたりと、やっていること自体はテーマとよく合っています。ただし、テキストで物語が語られるわけではなく、ストーリー性が強く前面に出てくるタイプではありません。
それでも、探索して新しいタイルをめくるたびに違う遺跡やモンスターが現れ、毎回少しずつ違う展開になるので、「自分の探検隊が島を切り開いている」感覚はしっかり味わえます。テーマがメカニクスを強く引っ張るというよりは、メカニクスに心地よく寄り添っている印象です。
ゲームの重さと対象プレイヤー層
ルールはそこまで複雑ではないものの、やることの選択肢が多く、資源の使い方やタイミングの判断も求められます。そのため、ボードゲームをほとんど遊んだことがない人にいきなり渡すゲームというよりは、「入門ゲームをいくつか遊んだあとにステップアップする先」としてちょうど良い位置づけだと感じます。
また、直接的な攻撃や妨害はほとんどなく、他プレイヤーとのインタラクションは「先にマスを取られる」「欲しかったカードを取られる」といった間接的なものが中心です。そのため、激しい対立や殴り合いを求める人には物足りないかもしれませんが、落ち着いて自分のエンジンを組み立てたい人にはとても向いています。
プレイ人数とインタラクションの感覚
プレイ人数としては、3人プレイがちょうど良いバランスだと感じます。2人でも問題なく遊べますが、マスが少し閉じられるとはいえ、他プレイヤーに先を越される感覚はやや薄くなります。4人になると、インタラクションは増えるものの、その分プレイ時間も伸びていきます。
このゲームのインタラクションは、あくまで「場所の取り合い」と「カードの取り合い」による間接的なものです。誰かに強烈な妨害をされてゲームが崩壊するようなことはなく、全体としては非常に安定したプレイ感があります。その分、ドラマチックな大逆転や大荒れ展開は少なく、じわじわと積み上げていくタイプのゲームだといえます。
デッキ構築要素は「控えめで安定志向」
アルナックの失われし遺跡はデッキ構築ゲームと紹介されることが多いですが、いわゆるドミニオンのような「ガンガンデッキを膨らませてコンボを回す」タイプではありません。購入したカードは山札の下に入るため、手札に戻ってくるまでに少し時間がかかりますし、1ラウンドに購入できるカードもそこまで多くありません。
そのため、「デッキ構築の爆発力」を期待すると少し肩透かしを食らうかもしれません。一方で、手札の回り方は比較的安定しており、毎ラウンド大きくゲームが荒れるようなことはありません。個人的には、デッキ構築はあくまでゲーム全体を支える一要素であり、主役は探索と研究だと感じます。
驚きは少ないが、安定して「良い」ゲーム
プレイしていて強く感じたのは、「すべてがよくできている一方で、強烈なサプライズは少ない」ということです。ルールもバランスもコンポーネントも、どれも高いレベルでまとまっていて、「ここがダメだ」と感じる部分はほとんどありません。
ただ、「このゲームだけが持つ圧倒的な個性」という意味では、やや控えめです。市場のカード列がラウンドごとにスライドし、徐々にアーティファクトが増えていく仕組みは面白いですが、それだけで「前代未聞のシステムだ」と感じるほどではありません。良い意味でも悪い意味でも、とても安定した優等生タイプのゲームだといえます。
総評:多くの人に勧められる「とても良い」探検ゲーム
アルナックの失われし遺跡は、美しいコンポーネント、安定したゲームデザイン、適度な重さ、控えめなインタラクションといった要素が組み合わさった、とてもバランスの良いゲームです。激しい対立や派手なコンボよりも、落ち着いて自分のエンジンを育てたい人にぴったりの作品だと感じます。
「とにかく新しくて奇抜なゲーム」を探している人には物足りないかもしれませんが、「しっかり遊べて、見た目も良くて、多くの人と安心して遊べるゲーム」を求めているなら、アルナックの失われし遺跡はとても良い選択肢になります。自分のコレクションに入れるかどうかは好み次第ですが、一度は遊んでみる価値がある一作だと強く感じました。
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