この記事では、動画「Gaia Project Review – with Tom Vasel」の内容をもとに、重量級宇宙開拓ボードゲーム『ガイアプロジェクト』を詳しくレビューします。
『ガイアプロジェクト』は、名作として知られる『テラミスティカ』の流れをくむ作品で、種族ごとの能力やテックツリー、豊富な得点方法が詰め込まれたガチガチの思考ゲームです。ここでは動画の内容を踏まえつつ、私自身の視点からゲームの魅力と気になる点を、初心者にも伝わるようにかみ砕いて紹介していきます。
結論:『ガイアプロジェクト』は“重いけれど噛めば噛むほど味が出る宇宙開拓ゲーム”
『ガイアプロジェクト』は、ルール量も情報量もかなり多い重量級ゲームです。それでもこのゲームを遊んでいて「面倒だからもういいや」と投げ出したくなることはなく、むしろ毎ラウンド少しずつ自分の文明が強くなっていく感覚が楽しくて、気づけば夢中になっていました。
完璧に好きと言い切れるわけではありませんが、少なくとも「また遊んでみたい」と思えるだけの魅力があります。重いゲームが好きで、コツコツとエンジンを育てるのが好きなら、かなり刺さるタイプの作品だと感じました。
『ガイアプロジェクト』の概要
| 参加人数 | 1~4人 |
| プレイ時間 | 60~150分 |
| 対象年齢 | 12歳から |
| 発売時期 | 2017年~ |
| メカニクス | タイル配置/アブストラクト/プレイヤー別固有能力 |
| ゲームデザイン | イェンス・ドロゲミューラー(Jens Drögemüller)/ヘルゲ・オシュテルターグ(Helge Ostertag) |
プレイヤーはそれぞれ異なる宇宙種族を担当し、自分の色のコマを使って銀河マップ上の惑星にコロニーを広げていきます。惑星には色があり、自分の種族にとって住みやすい惑星と住みにくい惑星があり、「テラフォーミング」で惑星を自分に適した環境に変えてから建物を置く必要があります。
建物を建てると、収入が増えたり、新しいアクションが解放されたりします。鉱山から貿易ステーション、研究所、アカデミー、特別な本部建物などへとアップグレードしていくことで、ラウンドごとの収入エンジンがどんどん強くなっていくのがこのゲームの基本的な流れです。また、テクノロジートラックを上げることで、移動距離を伸ばしたり、テラフォーミングコストを下げたり、知識や鉱石の収入を増やしたりと、文明の方向性をカスタマイズできます。
ゲームは全6ラウンドで、各ラウンドごとに「この行動で得点が入る」というボーナス条件が変わります。
さらにゲーム終了時には、連邦(フェデレーション)の数や、特定の条件に基づく最終得点タイルなどでボーナスが入ります。最終的にもっとも多くの勝利点を獲得したプレイヤーが勝利です。
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感想
種族ごとの個性が本当に強い
『ガイアプロジェクト』で一番ワクワクしたのは、種族ごとの個性がかなりハッキリしていることです。ボードには「この種族は簡単」「この種族は上級者向け」といった目安も書かれていて、どれを選ぶかでゲームの感触がかなり変わります。
例えば、特別な建物を建てると強い能力が解放されたり、パワーサイクルを早く回せたり、テラフォーミングが得意だったり…。自分だけの強みを活かしてプレイしている感覚がとても気持ちよく、「次は別の種族も試してみたい」と自然に思わせてくれます。
エンジン構築の気持ちよさ
テクノロジートラックを上げる感覚もかなり気に入りました。知識を消費してトラックを進めるたびに、収入が増えたり、新しい能力が手に入ったりするので、「一歩進めるたびに文明がグッと強くなった」感じがします。特に、上段にある「強力なタイル」を誰が先に取るかという争いは、見た目以上に熱いです。
建物のアップグレードも同じで、鉱山を貿易ステーションに変え、さらに研究所やアカデミーにしていくたびに、自分のボードが少しずつスッキリしていき、代わりに収入欄が潤っていくのが本当に気持ちいいです。ラウンドが進むごとにできることが増えていくので、後半に向かって加速していく感覚もたまりません。
同盟づくりとマップの気持ちよさ
マップ上でコロニーを広げていき、ある程度まとまったエリアを作ると「同盟」を結成できます。この瞬間がまた楽しくて、散らばっていた自分のコマが、一本の線でつながって一つの勢力圏になったように感じられます。
同盟を作ると、得点とボーナスがもらえるので、「どのタイミングでどのエリアを同盟化するか」を考えるのも悩ましくて良いところです。早めに一つ作って安定を取りに行くか、ギリギリまで我慢して大きな同盟を狙うか…。地図上の配置と得点計画がしっかり結びついているので、見た目とプレイ感の両方で満足感があります。
パワーサイクルの“気持ちよさ”と“めんどくささ”
一方で、どうしても好きになりきれない部分もあります。その代表がパワーサイクルです。エリア1→2→3とトークンを回して使っていく仕組み自体は面白いのですが、実際にプレイしていると「ここを一つ動かして、こっちを戻して…」と、細かい管理が多くて少しストレスを感じました。
パワーを増やせば強力なアクションが打てる一方で、増やしすぎるとチャージに時間がかかるというジレンマもあり、そのバランスを考えるのは楽しい反面、処理が煩雑になりがちです。個人的には「パワーを高速で回せる種族」を選んで遊びたくなるくらい、この部分に関しては楽しいよりも面倒さが先に立ちました。
ラウンドボーナスと最終得点の悩ましさ
ラウンドごとに「この行動で得点」というボーナスが変わる仕組みは、ゲームにメリハリを与えてくれます。「今のラウンドは鉱山を建てると得点が入るから、ここで一気に建てておこう」といった短期的な目標が見えるのは、とても遊びやすいです。
ただ、時々「今のラウンドはこの行動が得点になるけど、正直その方向の戦略をとっていない」という場面もあり、ボーナスに引っ張られて無理な行動をしたくなる誘惑もあります。ここはプレイヤーの判断のしどころで、「自分の長期プランを優先するか」「目先の得点を拾うか」を選ぶのが、このゲームの面白さにもつながっていると感じました。
情報量と学習コストは高いが、その価値はある
コンポーネントもアイコンも多く、初回プレイ時の情報量はかなりのものです。種族ボード、技術タイル、ラウンドボーナス、最終得点タイル、共通ボード…テーブルの上は常に情報で埋まります。正直なところ、最初の1~2回は「全部を完璧に理解してから遊ぶ」のはほぼ無理です。
ただ、ルールの多くは「テーマと直感が結びついている」ので、一度プレイしてしまえば少しずつ頭の中が整理されていきます。重いゲームを何度も遊んで研究したいタイプの人なら、この学習コストも含めて楽しめるはずです。
まとめ:『ガイアプロジェクト』は“戦略好きにこそ勧めたい、じっくり系SFボードゲーム”
『ガイアプロジェクト』は、種族ごとの個性・テックツリー・マップ制圧・同盟づくりなど、考える要素がぎっしり詰まった重量級ゲームです。パワーサイクルの管理や情報量の多さなど、人を選ぶポイントはありますが、「重いゲームをじっくり遊びたい」「自分だけの文明エンジンを組み上げたい」という欲求にしっかり応えてくれる一本だと感じました。
一度遊んだだけでは到底遊び尽くせない奥行きがあり、種族を変え、戦略を変え、マップ構成を変えることで、何度でも新しい発見があります。時間と頭をしっかり使う覚悟さえあれば、『ガイアプロジェクト』はきっと期待に応えてくれるはずです。


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