この記事では、動画「Cubitos Review – Push-Your-Luck Perfection」の字幕内容をもとに、ダイスレースゲーム『キュビトス』を詳しく紹介します。レビューでは、キュートでバカバカしくも愛おしい世界観と、手に汗握る「山ほどダイスを振ってギリギリまでリスクを取る」ゲーム体験が、ユーモアたっぷりに語られていました。
ここでは、その内容を踏まえつつ、『キュビトス』の魅力と気になる点を、できるだけ分かりやすい言葉で掘り下げていきます。
結論:『キュビトス』は「笑いながら本気で悩む」極上の運試しレースゲーム
『キュビトス』は、一言で言えば「バカバカしいほど派手なのに、ちゃんと頭も使う運試しレースゲーム」です。大量のダイスを握りしめて振りまくり、「もう一回いけるはずだ」と自分を信じるたびに、成功と爆死の両方がすぐそばにあります。コース上を小さな動物コマで競争するシンプルなレースでありながら、ダイスの構成や購入、リスクの取り方でプレイヤーごとの色がはっきり出るのが本当に面白いところです。
『キュビトス』はうるさくて上品じゃないけれど、遊び応えとリプレイ性がとても高いゲームだと感じます。価格はやや高めになりがちですが、箱の中身と遊びの幅を考えると、それに見合う価値は十分にあると感じました。
概要
| 参加人数 | 2~4人 |
| プレイ時間 | 30~60分 |
| 対象年齢 | 10歳から |
| 発売時期 | 2021年~ |
| メカニクス | ダイスロール/チキンレース/出目移動/バースト/デッキビルディング/バッティング |
| ゲームデザイン | ジョン・クレア(John D. Clair) |
『キュビトス』は、小さな動物コマをコースのゴールまで走らせるレースゲームです。各ラウンドは大きく「ダイスを振る」と「コマを進める」の2段階で進行します。プレイヤーはまず、自分のダイスプールから決められた数のダイスを手に取り、一斉に振ります。
このダイスが非常にクセ者で、ほとんどの面は「空白」です。明確な効果のある面は、一般的なダイスでも6面中1面だけ、濃い灰色のダイスでようやく2面だけというレベルです。そのため、最初の1回目のロールでは、だいたい期待したほどは出ません。しかし、このゲームの肝はそこからで、出た「成功」を一部キープしつつ、残りをもう一度振り直すことができます。
ただし、「成功している面」が3つを超えた状態からさらに振り直しを選ぶと、全て空白が出た瞬間に「バースト」して、そのラウンドの行動がほぼ失われてしまいます。安全に止めるか、もう一押し狙うか…。この繰り返しが、キュビトスの一番熱い部分です。
ダイスの結果には主に「足(移動)」と「コイン(お金)」があり、足はコマを進めるために、お金は新しいダイスを購入するために使います。コース上には、追加のダイスを得たり、キューブを戻したりできるボーナスマスが散りばめられていて、うまく活用することでさらにエンジンを強化できます。購入できるカラフルなダイスにはそれぞれ能力があり、その内容はカードで決まります。これにより、毎回違う「キュビトス」の顔を楽しむことができます。



※引用元:CMON Japan公式ショップ『キュビトス(Cubitos)』商品ページ
感想
手の中で「可能性の山」を握りつぶす感覚がたまらない
キュビトスを遊んでいて一番強く感じるのは、手の中いっぱいのダイスが、そのまま「可能性の塊」に見えてくる瞬間が何度も訪れることです。最初は頼りない灰色のダイスばかりで、「どうせ空白ばかりだろう」と少し冷めた気持ちになるのですが、ゲームが進むにつれて、自分で買い足した派手な色のダイスが増えていきます。
「これだけ強いダイスが混ざっているんだから、今度こそいい結果が出るはずだ」と信じて振るたびに、期待と不安がセットで押し寄せてきます。3つ目の成功が出たあと、さらにもう1回振るかどうか迷うあの数秒間は、ボードゲームなのに、ちょっとしたギャンブルに近い脈の高鳴りを感じます。うまくいけば大きく前進し、失敗すればそのラウンドの行動がほぼ消し飛ぶ。そこで笑って済ませられる空気こそ、このゲームの魅力だと感じました。
「バースト=ただの罰」ではなく、自然なキャッチアップになる構造
多くの運試しゲームでは、「バースト=ただの大損」と感じてしまうことがありますが、キュビトスはそこが上手くできています。バーストしたラウンドはたしかに痛いですが、その代わりに「ファン(観客)」トラックが進み、追加のお金や手番で振れるダイスの上限アップといった報酬がもらえます。
また、コース上に引かれている赤いラインより後ろにいるプレイヤーは、それぞれのラインを超えるたびに手札上限が増える仕組みもあります。これにより、リードしているプレイヤーはリスクを多く背負うことになり、後ろにいるプレイヤーは自然と「たくさんダイスを振れる追い上げモード」に入ります。単純な逆転補正というより、ゲームの本質である「リスクを取る楽しさ」を加速させる形でのキャッチアップになっているのが、とても気持ちよいバランスだと感じました。
ダイスの「顔」を変えるだけでゲームの性格が激変する
キュビトスの箱の中には、8種類のカラーダイスそれぞれに対して、複数種類の「能力カード」が用意されています。これによって、同じ色のダイスでも、そのゲームでどんな効果を持つかがガラッと変わります。たとえば、失敗を防いでくれる防御寄りの能力が並ぶこともあれば、「リスクを取れば取るほど加速する」ような攻めた構成になることもあります。
特に印象的なのが、「チーズ狂い」のような、リスクを取るたびに移動力が増していくタイプの効果です。「せっかくならこの効果を最大限に活かしたい」と思うと、安全運転ではつまらなくなり、自然とギリギリを攻める選択をしがちになります。その結果、テーブル全体が「誰が一番バカな賭けに出るか」を笑いながら見守る空気になり、ゲーム全体のテンションが一段階引き上がる感覚がありました。
一方で、能力の組み合わせによっては、やや処理が増えて地味に感じるセットもあります。特に、ダイスの比較や細かい効果の確認が増える構成だと、スピード感が削がれてしまうこともあります。そのあたりは、「今日は軽めに遊びたいからシンプル寄りのセットにしよう」と、遊ぶメンバーに合わせて事前に難易度を調整する意識があると、より良い体験になりそうだと感じました。
ゲームの核はいつも同じなのに、毎回違う「バカさ」と「ドラマ」が生まれる
何度も遊びたくなる理由のひとつは、コアな流れは常に同じなのに、その上に乗る状況が毎回変わるところです。「ダイスを握る」「振る」「リスクを取る」「進む」「買う」という基本サイクルは一切ぶれません。そのおかげで、ルールに慣れてしまえば処理はとてもスムーズで、同時進行もやりやすくなります。
その上で、能力カードの組み合わせやコースの選択によって、「今回は追い風が強くて全員がとにかく前に出る」「今回は守りが固くてバーストが少ない」「今回は全員がファン狙いで序盤ほとんど前に進まない」など、ゲームの性格が劇的に変わります。同じメンバーで何戦か連続で遊ぶと、「さっきはこの戦略が強かったけど、今回は違うかもしれない」と自然に分析が始まり、その後の雑談まで含めて一つのセットのように楽しめると感じました。
楽しさの中心にあるのは「高級感」ではなく、素直な笑いと興奮
コンポーネント面では、小さいダイス用の箱が少し安っぽく感じられたり、収納や扱いに気を使う部分もあります。ただ、実際にプレイしていると、そうした細かい不満を上回る勢いで、ダイスの音とテーブル上の笑い声が勝ってしまうように感じました。
手の中でがしゃがしゃとダイスが鳴り、テーブルに一気に転がした瞬間、目の前の結果に一喜一憂する。そのすぐ横で、別のプレイヤーがとんでもない無茶なリスクを取り、見事にバーストして膝から崩れ落ちる。そういうシーンを何度も見ていると、「高級感」や「洗練」といった評価軸では測れない、素直で原始的な楽しさがこのゲームの本質なのだと感じます。
まとめ
『キュビトス』は、大きなリスクと大きなリターンを、笑いながら受け止められる人向けのレースゲームです。ダイスの山を握りしめて、「もう一回だけ」と自分を説得するたびに、テーブルの空気が少し熱くなっていきます。ゲームとしての安定性や整理されたデザインよりも、「とにかく盛り上がって笑いたい」「毎回違うカオスを楽しみたい」という気持ちが強いなら、キュビトスはきっと期待に応えてくれると思います。
落ち着いた戦略ゲームとは少し違う、「うるさくてバカバカしくて、でもちゃんと悩める」不思議な楽しさを求めているなら、このゲームは一度体験してみる価値があると感じました。


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