この記事では、ボードゲームレビュー動画「Grand Austria Hotel Board Game Review – Still Worth It?」をもとに、ダイス選択型ユーロゲーム『グランドオーストリアホテル』の魅力と遊び心地を詳しく紹介します。
動画では、ホテル経営をテーマにしたこのゲームについて、ルールの概要、ダイス選択のシステム、スタッフカードやゲストカードの面白さ、そしてプレイ感の良い点・気になる点がバランスよく語られていました。
本記事では、その内容を整理しつつ、要約レビューを書いていきます。
結論:重すぎず悩ましく、何度も遊びたくなるダイスドラフトゲーム
『グランドオーストリアホテル』は、ダイスを選んで(ドラフト)アクションを行い、ゲストをもてなし、部屋を準備し、スタッフを雇い、皇帝のご機嫌を取りながら勝利点を競うゲームです。プレイ時間の中でやりたいことは山ほどあるのに、ラウンド数はたった7ラウンドしかなく、常に「時間もリソースも足りない」という心地よい焦りに包まれます。
ダイス選択のシステムはシンプルながらも悩ましく、スタッフカードやゲストカードの効果が積み重なることで、毎回違う展開が生まれます。
一方で、ダイス目に左右される場面や、4人プレイ時の待ち時間、スタッフカードの管理の大変さなど、気になる点もはっきり存在します。
それでも、総合的には「また遊びたい」と素直に思える、完成度の高いユーロゲームだと感じました。
概要
| 参加人数 | 2~4人 |
| プレイ時間 | 60~120分 |
| 対象年齢 | 12歳から |
| 発売時期 | 2015年~ |
| メカニクス | セットコレクション/パターンビルディング/ドラフト/ダイスプレイスメント |
| ゲームデザイン | ヴィルジーニョ・ジーリ(Virginio Gigli)/シモーネ・ルチアーニ(Simone Luciani) |
『グランドオーストリアホテル』は、7ラウンド制のダイスドラフトゲームです。プレイヤーはウィーンのホテル経営者となり、カフェにやってくるゲストにケーキやシュトルーデル、ワインやコーヒーを提供し、満足したゲストを客室に案内して得点を稼ぎます。
各ラウンドのはじめに、アクティブプレイヤーがダイスをまとめて振り、出目ごとに対応するアクションスペースに振り分けます。プレイヤーは手番で1つのダイスを選び、その出目に対応したアクションを、そこにあるダイスの個数分だけ行えます。主なアクションは以下の通りです。
・ケーキやシュトルーデルを得る(ただしシュトルーデルはケーキより多くは持てない)
・ワインやコーヒーを得る(ワインはコーヒーより多くは持てない)
・客室の準備(階層に応じたコストを払い、部屋タイルを表向きで配置)
・お金と皇帝トラックの前進
・スタッフカードのプレイ(ダイス数に応じて割引)
・ジョーカーアクション(1金支払い、6のダイス数を参照して別アクションを行う)
ゲストカードには、必要な飲食物が描かれており、キッチンからキューブを移動して要求を満たすと、そのゲストを準備済みの部屋に入れ、部屋タイルを裏返して占有済みにします。その際、ゲストカードの効果や得点を得られます。また、皇帝トラックは3・5・7ラウンド終了時に決算があり、位置に応じてボーナスやペナルティが発生します。
ゲーム終了時には、占有済みの部屋、スタッフカード、政治カード(目標カード)、残りのリソース、そしてカフェに残った未対応ゲストなどを精算し、最も得点の高いプレイヤーが勝者となります。
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引用元:グランドオーストリアホテル(BoardGameGeek イメージ)
感想
ダイスドラフトが生む「悩ましさ」と「インタラクション」
このゲームの中心は、やはりダイスドラフトです。ダイスの出目ごとにアクションが割り当てられ、その目に対応するスペースに置かれたダイスの数が、そのアクションの強さになります。例えば、ケーキ・シュトルーデルのスペースにダイスが4個あれば、4回分の獲得が可能になります。
ここで面白いのは、自分だけでなく他プレイヤーの選択も、アクションの価値に影響するという点です。誰かが特定のアクションを選ぶと、そのスペースのダイスは減り、後のプレイヤーにとっては弱くなります。逆に、誰も選ばないアクションはダイスが残り続け、後半に強力な選択肢として光ってきます。
この「誰がどのアクションをいつ取るか」という読み合いが非常に楽しく、単なるソロパズルではない、程よいインタラクションを感じました。
ターン順システムが独特で、公平さと計画性を両立している
ターン順の仕組みも印象的です。各プレイヤーは「1と8」「2と7」「3と6」「4と5」といった番号が書かれたタイルを持ち、その番号順に手番が回ります。つまり、1番のプレイヤーはラウンドの最初と最後に手番があり、4番のプレイヤーは真ん中で連続手番を持つことになります。
このシステムのおかげで、全員がラウンドを通して公平に「早い手番」と「遅い手番」を経験できるようになっています。また、連続手番をどう活かすか、最後手番で何を確保するか、といった計画も重要になり、ターン順そのものが戦略の一部として機能しています。
スタッフカードとゲストカードが生む多様性とテーマ性
スタッフカードとゲストカードの存在が、このゲームの多様性とテーマ性を大きく支えています。スタッフカードは、コストを払って雇うことで、継続効果や一度きりの強力な効果をもたらします。例えば、「バーテンダー」は毎ラウンドワインを1つくれたり、「菓子職人」は一度にケーキを大量にくれたりと、効果と役職名がしっかり結びついていて、テーマ的な納得感がとても強いです。
ゲストカードも同様で、必要な飲食物を提供すると、得点や皇帝トラックの前進、追加リソースなど、さまざまな報酬をもたらします。観光客のようにどの色の部屋にも入れるゲストがいたり、特定の色の部屋を好むゲストがいたりと、カードごとに個性があり、どのゲストを優先するかという判断も悩ましくて楽しいです。
さらに、政治カード(目標カード)や皇帝タイルもゲームごとに組み合わせが変わるため、毎回違う方向性の戦略を試せるのも魅力です。
「7ラウンドしかない」という厳しさが、逆に心地よい
このゲームはたった7ラウンドしかありません。その中で、部屋を準備し、ゲストを呼び込み、飲食物を用意し、スタッフを雇い、皇帝トラックも気にしなければなりません。正直に言って、やりたいことの半分もできないままゲームが終わる感覚があります。
しかし、この「足りなさ」が逆にゲームの魅力にもなっています。限られた手番の中で、どのゲストを優先し、どのスタッフを雇い、どの政治カードを狙うのか。毎手番が重く、1つの選択がゲーム全体に大きく影響します。「あと1ラウンドあれば…」というもどかしさも含めて、このゲームらしさだと感じました。
ダイス運とお金の厳しさは、時にフラストレーションにもなる
一方で、ダイス運に左右される場面は確かにあります。特定の飲み物が必要なゲストを複数抱えているのに、そのラウンドではワインやコーヒーのアクションにダイスがほとんど置かれない、といった状況も起こりえます。パスしてダイスを振り直すこともできますが、必ずしも望む目が出るとは限りません。
さらに、お金が非常に貴重で、部屋の準備やスタッフの雇用、ジョーカーアクションなど、何をするにもクローネが必要になります。お金を得るアクションが弱かったり、ダイスが偏ったりすると、「やりたいことが何もできない」という感覚に陥ることもあります。このあたりは、プレイのたびに緊張感を生む一方で、人によってはストレスに感じる部分かもしれません。
スタッフカードの管理は楽しいが、情報量が多くて大変
スタッフカードはこのゲームの大きな魅力ですが、同時に弱点にもなりえます。ゲームが進むと、プレイヤーは5枚、6枚、あるいはそれ以上のスタッフカードを場に並べることになります。それぞれが継続効果やトリガー条件を持っているため、全てを忘れずに活用するのはなかなか大変です。
実際、効果の発動を忘れてしまい、「さっきの手番で本当はこれが使えたのに…」ということが起こりがちです。ハウスルールとして、「ゲーム状態が大きく変わっていなければ、直前の効果忘れは遡って適用してよい」といった緩い運用をするのも一つの手だと感じました。
総評:グランドオーストリアホテルは、悩みたい人にこそ刺さるダイス選択ユーロ
『グランドオーストリアホテル』は、ダイス選択・リソース管理・タイル配置・カードコンボ・目標達成といった要素が、ぎゅっと詰め込まれた中量〜やや重量寄りのユーロゲームです。ダイス運やお金の厳しさ、スタッフカードの管理の大変さなど、プレイヤーを選ぶ部分はありますが、その分だけ決断の重さと達成感がしっかり味わえます。
ホテル経営というテーマも、スタッフやゲストのカード効果とよく噛み合っており、プレイ中に「それっぽさ」を感じられるのも好印象です。ダイス選択型のユーロゲームが好きな人、限られた手番の中で最適解を探すのが好きな人には、ぜひ一度遊んでみてほしい作品です。


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