この記事では、動画「Top 10 Race Games」で取り上げられていたレースゲームを、日本語で分かりやすくまとめて紹介します。レビュアーが「トラックを走るレース」だけでなく、点数やゲーム終了条件に向かって競争するタイプのゲームも含めて、トップ10として挙げていた内容です。
10位:南チグリスの旅人
『南チグリスの旅人』では、土地カード・水域カード・星空カードを並べて、自分だけの地図と観測記録を作っていきます。カードには港や街、星のシンボルなどの「タグ」が描かれていて、それらを集めながらタブローを発展させていきます。
このゲームで特に重要なのが、ボード上のジャーナルトラックです。ジャーナルトラックを進めるには、「港タグを何個以上」など、一定の条件を満たす必要があります。誰かがジャーナルトラックを終盤まで進めるとゲーム終了が近づくため、自分のタブローを育てつつ、いつ終わりに近づけるかを調整するレースのような感覚があります。


感想
このゲームは、タブロー構築だけでなく、「ゲームの終わらせ方」までプレイヤー側に委ねられている感覚が強く、とても面白いと感じました。ジャーナルトラックを進めれば終わりに近づけますが、その分だけタブローが育ち切る前にゲームが終わってしまうリスクもあります。星空カードなどの終盤得点を意識しながら、「今は進むべきか、準備を優先すべきか」を常に考えさせられます。
ジャーナルの条件に必要なタグが足りずに足止めされる場面も多く、「行きたいけれど条件を満たせていない」もどかしさもこのゲームのスパイスになっていると感じました。タブローが横に広がり、陸・海・星が並んでいく見た目も楽しく、じっくり考えるタイプのプレイヤーにとても合っている作品だと思います。
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9位:キュビトス
『キュビトス』は、キューブだらけの不思議な世界を舞台にしたダイスレースゲームです。プレイヤーはスタート地点から一周のコースを周回し、最初にゴールした人が勝ちになります。最初は弱い初期ダイスしか持っていませんが、ダイスを振ってお金を稼ぎ、新しいダイスを購入してデッキならぬ「ダイスプール」を強化していきます。
ゲームはプッシュ・ユア・ラック形式で、出目に成功が3つそろうまではいくらでも振り直せますが、3つ以上成功した状態で振り直して「全て空振り」になるとバーストしてしまいます。バーストするとそのラウンドは大きく進めませんが、代わりにファントラックが進み、次のラウンドでボーナスを得られます。この仕組みによって、失敗しても少し報われるキャッチアップ要素が用意されています。



※引用元:CMON Japan公式ショップ『キュビトス(Cubitos)』商品ページ
感想
『キュビトス』は、ダイスを振る楽しさとレースのドキドキ感がしっかり合わさった作品だと感じました。成功が2つまでならノーリスクで振り続けられるので、「もう一回、もう一回…」とつい欲張ってしまいます。そこで全て空振りを出してしまった瞬間の「やってしまった感」と、それを見た周りの笑いは、まさにレースゲームらしい盛り上がりでした。
新しいダイスを買うことで能力がどんどん増えていくので、ゲームが進むほど「振っているだけで楽しい」状態になっていきます。色ごとに能力のバリエーションがあり、どのセットを使うかでゲームの性格が変わるので、毎回違った展開を楽しめるレースゲームだと思いました。運と戦略がほどよく混ざった、明るく遊べる良いレースゲームです。
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8位:レス・アルカナ
『レス・アルカナ』は、魔術師たちが限られたカードでエンジンを組み上げ、いち早く10点に到達することを目指すゲームです。誰かが10点に到達したラウンドの終了時に、もっとも点数が高いプレイヤーが勝利します。カードからリソースを生み出し、それを変換し、「力ある場所」と呼ばれる強力なカードを獲得することで得点を伸ばしていきます。
「力ある場所」は多くのリソースを必要としますが、そのぶん効果も大きく、得点源としても非常に重要です。どの力ある場所を目指すかを決め、それに合わせてカードを運用していくことで、短いゲームの中でもしっかりとしたエンジンビルドの手応えを味わえます。
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感想
『レス・アルカナ』の良さは、短時間で「エンジンを作って走り切る感覚」が味わえることだと感じました。10点という目標点が低く設定されているおかげで、ダラダラせずに一気に終盤まで駆け抜けるようなテンポがあります。一方で、10点に届いた瞬間でゲームが止まるわけではなく、そのラウンドの終了まで続くため、「どのタイミングで10点に乗せるか」も重要になります。
カード同士のコンボが決まると、一手番で一気にリソースが流れ込んで力の場所を獲得できたりして、とても気持ちがいいです。その快感と同時に、「他のプレイヤーも同じように伸びているかもしれない」というレースの緊張感があるので、単なるソロエンジンではなく、ちゃんと競争している感覚がありました。コンパクトなレース型エンジンビルドとして、かなり完成度の高い一作だと思います。
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7位:ガンジスの藩王
『ガンジスの藩王』は、インドを舞台にしたワーカープレイスメントゲームです。特徴的なのは、「お金」と「名声」の2本のトラックがあり、それぞれボードの外周を逆方向に進んでいくことです。この2つのトラックが交差したプレイヤーがゲーム終了のトリガーを引き、交差後にもっとも差が大きいプレイヤーが勝利します。
プレイヤーはダイスとワーカーを使って、自分の領地にタイルを配置したり、市場で商品を売ったりして、お金と名声を稼いでいきます。ダイスは色と出目の合計値が重要で、「オレンジの出目合計10」などの条件を満たすことでタイルを購入する、といった使い方をします。



感想
このゲームでは、「お金を伸ばすか、名声を伸ばすか、それとも両方バランスよく伸ばすか」という選択が常に付きまといます。片方に偏ると、そのトラックの進みは早いものの、もう一方が全く伸びず、2本がなかなか交差しません。両方ほどほどに伸ばすと交差しやすくなりますが、差を大きくするのが難しくなります。
ダイスの出目に左右される部分もありますが、それをどう組み合わせて使うかで差がつきます。終盤、他プレイヤーの2本のトラックが近づいてくるのを見ると、一気に緊張感が高まります。「あと何マスで交差するか」が視覚的に分かるレースゲームとして、とてもよくできたデザインだと感じました。
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6位:ワイナリーの四季
『ワイナリーの四季』では、プレイヤーはワイナリーのオーナーとなり、ブドウを育ててワインを作り、注文をこなすことで得点を稼ぎます。基本ルールでは20点、拡張「トスカニー」を入れると25点に到達したプレイヤーがいるラウンドでゲームが終了します。
やること自体はとても直感的で、畑にブドウを植え、収穫し、ジュースにし、それを熟成させてワインに変え、注文カードを満たしていきます。建物や訪問者カードもあり、ワイナリーの経営を自分なりに最適化していく感覚があります。



感想
『ワイナリーの四季』は、エンジンビルドの楽しさと点数レースの分かりやすさが両立しているゲームだと感じました。「ワインの注文をこなすにはワインが必要」「ワインにはジュースが必要」「ジュースにはブドウが必要」という流れがとても分かりやすく、ゴールから逆算してやるべきことを考えやすいです。
20点(25点)という明確なゴールがあるため、「誰が終わりに近いか」が一目で分かります。終盤は、他プレイヤーの点数がラインに近づいてくるのを見ながら、「このラウンドでどこまで追いつけるか」「大きな注文を一気に決められるか」というレースの緊張感が生まれます。ワイン作りという穏やかなテーマの中に、意外とシビアな競争が潜んでいるのが、このゲームの魅力だと感じました。
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5位:コードネーム
『コードネーム』は、2チームに分かれて遊ぶワード系パーティーゲームです。テーブルには25枚の単語カードが並び、そのうちいくつかが赤チーム、いくつかが青チームの「コードネーム」となります。各チームのスパイマスターが、単語と数字を組み合わせたヒントを出し、味方に自分の陣営の単語を当ててもらいます。
先に自分のチームの単語をすべて当ててもらったチームが勝利するため、実質的には「どちらが先に自分の単語を全部取り切るか」のレースゲームと言えます。
ただし、暗殺者カードを当ててしまうと即敗北なので、攻めすぎると一瞬でゲームが終わってしまう危険もあります。



感想
『コードネーム』は、とてもシンプルなのに「攻めるか守るか」のレース的な駆け引きがしっかり感じられるゲームだと感じました。スパイマスターとしては、一度に3語・4語をつなぐ攻めたヒントを出したくなりますが、相手の単語や暗殺者が近くにあると一気に危険度が増します。
終盤になるほど、「この一手で勝ち切るか、それとも確実に2語だけを狙うか」という判断が重くなります。正しい単語が次々と当てられていくと、チーム内で自然と盛り上がり、単語当ての楽しさとレースのスリルが同時に味わえるゲームだと感じました。
パーティーゲームの中でも、何度でも遊びたくなるタイプです。
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4位:ロール・フォー・ザ・ギャラクシー
『ロール・フォー・ザ・ギャラクシー』は、ダイスを使って自分の宇宙帝国を発展させていくゲームです。プレイヤーは様々な「市民」を表すダイスを振り、「探索」「開発」「移住」「輸送」などのフェーズに割り当て、惑星や技術タイルを自分のタブローに配置していきます。
レース要素としては、自分のタブローに12枚のタイルを配置しきるか、共通の得点チップを取り切るとゲームが終了します。つまり、「誰が一番早く帝国を形にするか」「誰が効率よく得点チップを稼ぐか」を競うゲームと言えます。


感想
このゲームは、ダイスゲームでありながら、計画性とレース感の両方を味わえるところが魅力だと感じました。タイルが増えるほどエンジンが強くなり、「12枚に早く到達したい気持ち」と「もっとエンジンを育ててから終わりたい気持ち」がぶつかります。
他のプレイヤーがタイルを高速で配置していると、「このままだと自分の帝国が育つ前にゲームが終わる」と焦ってしまいますし、逆に自分が終わりを引き寄せる側に回ることもあります。終わりのスイッチを誰が押すかを巡るレースとしても楽しめる、濃いダイスゲームだと思いました。
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3位:ヒート:ペダル・トゥ・ザ・メタル
『ヒート:ペダル・トゥ・ザ・メタル』は、F1レースをテーマにした本格的なレースゲームです。手札のスピードカードを出してマシンを進め、コーナーの速度制限を守りながら、誰よりも早くゴールを目指します。
スピードを出しすぎてコーナーに入ると、ヒートカードを使って無理やり曲がるか、スピンして大きく減速するかを迫られます。ヒートカードはエンジンの負荷を表していて、使いすぎると手札がヒートだらけになり、思うようにスピードが出せなくなります。
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感想
『ヒート』は、「どこで攻めて、どこで我慢するか」というレースの醍醐味をよく表現していると感じました。コーナーに入る前にスピードを落とすべきか、それともヒートを切ってでも突っ込むべきか…その判断が毎回悩ましく、決断したあとの結果がそのまま順位に反映されます。
スリップストリームやモジュールルールなどもあり、何度も遊びたくなる作りです。ルールはそこまで難しくないのに、プレイ中はしっかり頭を使うので、「遊びやすいのに奥深いレースゲーム」を探している人にはぴったりだと感じました。
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2位:アーク・ノヴァ
『アーク・ノヴァ』は、動物園をテーマにした重量級ボードゲームです。プレイヤーは動物カードやプロジェクトカードを駆使して、自分の動物園を発展させていきます。得点は「人気(アピール)」と「保全(コンザベーション)」という2種類のトラックで表され、この2本のトラックのマーカーが交差したときにゲーム終了のトリガーが引かれます。
人気は動物を展示すると伸びやすく、保全は保護活動などを行うことで伸びますが、条件が厳しいかわりに一歩の価値が大きいです。人気と保全をどうバランスよく伸ばすかが、このゲームの大きなテーマになっています。



※引用元:Capstone Games公式サイト『Ark Nova』商品ページ
感想
『アーク・ノヴァ』は、エンジンビルドとレース要素が高いレベルでまとまったゲームだと感じました。人気トラックは伸ばしやすいものの、それだけでは交差地点に届かず、保全の伸びも必須になります。一方で、保全はそう簡単には伸びないので、どのタイミングで保全に本腰を入れるかの判断が難しいです。
終盤、他プレイヤーの人気と保全のマーカーが近づいていく様子を見ると、「誰が先に交差するか」というレースの緊張感が一気に高まります。重たいゲームでありながら、終わりのイメージが視覚的に分かりやすいので、最後まで集中して遊べる作品だと感じました。
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1位:エルドラドを探して
『エルドラドを探して』は、伝説の黄金郷エルドラドを目指すデッキ構築型レースゲームです。プレイヤーはジャングル・水域・市場などが描かれたヘックスで構成されたマップを進み、誰よりも早くゴールに到達することを目指します。
マスごとに必要なシンボルの数が決まっており、「ナタ3個」などの高コストマスは近道になっていることが多いです。そのため、強力なカードを手に入れてショートカットを狙うか、安全な遠回りルートを選ぶかが重要な選択になります。お金カードは道を進むだけでなく、新しいカードを購入するときの通貨にもなります。


※引用元:アークライト公式『エルドラドを探して(新版)』商品ページ
感想
『エルドラドを探して』は、レースゲームらしい分かりやすさと、デッキ構築の奥深さが見事に噛み合った作品だと感じました。やることは「カードを出して進む」「お金でカードを買う」というシンプルなものですが、「どのカードを優先して取るか」「どのルートを目指すか」でプレイ感が大きく変わります。
特に印象的なのは、終盤の接戦になりやすさです。途中で大きくリードしていても、高コストマスで足止めを食らい、その間に他のプレイヤーが追いついてくることがよくあります。これにより、「最後まで誰が勝つか分からない」レース展開になりやすく、毎回ハラハラしながらゴールを目指せます。レースゲームの入口としても、デッキ構築の入門としても、とても優秀な一作だと思いました。
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