インカ帝国を築く重ゲー『タワンティン・スウユ』弱点も含めレビュー

インカ帝国を築く重ゲー『タワンティン・スウユ』弱点も含めレビュー エリアマジョリティー(陣取り)

この記事では、動画「Tawantinsuyu Review with Bryan」の字幕内容をもとに、インカ帝国を舞台にした重量級ユーロゲーム「タワンティン・スウユ」を詳しくレビューします。

動画では、同じ“Tシリーズ”の一員として『ツォルキン』や『テオティワカン』と並べて語られつつも、その中でも独自色の強い一本として、本作の面白さが熱く語られていました。

ここではゲームの概要と、実際に遊んだときに感じた魅力や遊び心地を、わかりやすくたっぷりと掘り下げていきます。

結論:複雑さの中に「文明を築いている手応え」

タワンティン・スウユは、最初の一歩こそ少しとっつきにくいものの、一度ルールの輪郭が見えてくると、「インカ帝国を段々と築いている」という実感が強く伝わってくるゲームだと感じました。

ワーカーを置くたびに盤面は下へ下へと広がっていき、上層はワーカーで埋まり、新たな階段と建物が立ち並ぶ姿は、まさに文明が山の斜面に広がっていく光景そのものです。さまざまな得点源が絡み合いながらも、その一つ一つがテーマとしっかり結びついていて、ルールの複雑さが単なる作業ではなく、文明づくりの悩みとして感じられるのが本作の魅力だと強く感じました。

同じ“Tシリーズ”の作品群の中でも、タワンティン・スウユは「色付きワーカーの個性」と「段々畑のように広がるボード」のおかげで印象がかなり異なります。最初は「このマスに置いたらどのタスクができるのか」が直感的に分かりにくいものの、一度感覚をつかめば、毎手番が小さなパズルであり、同時にインカ帝国の歴史の一片を積み上げているような感覚になっていきます。

「重めのユーロで文明を育てるのが好き」という人にとって、腰を据えて遊びたくなる一本だと感じました。

概要

参加人数1~4人
プレイ時間60~120分
対象年齢14歳から
発売時期2020年~
メカニクスエリアマジョリティ/ワーカープレイスメント/セットコレクション/ハンドマネジメント/ロンデル/バースト/ドラフト
ゲームデザイン デヴィッド・タージ(Dávid Turczi)

タワンティン・スウユは、頂上からすり鉢状に広がるような中央ボードを使うワーカープレイスメントゲームです。プレイヤーは自分のプレイヤーカラーこそ持っていますが、ワーカー自体は共通のコマで、色によって能力が違うのが大きな特徴です。赤・青・緑などのワーカーごとに「追加タスクが発生しやすい」などの特性があり、どの色をどこに置くかで得られるアクション数が大きく変わります。

手番でできることは大きく分けて2つです。ひとつはワーカーを1体配置するメインアクション、もうひとつは2つのセカンダリーアクションを実行することです。ワーカーを置くには、対応するシンボルの「神カード」を支払うか、金を支払って好きなシンボルとして扱います。ワーカーを配置したマスの周囲には複数のタスクアイコンが描かれており、その中から1つ以上のタスクを実行できます。ワーカーの色と、隣接する同色ワーカーの数によって、実行できるタスク数が増えていく仕組みです。

ボード中央付近には「高司祭」がいて、その位置からどれだけ離れた場所にワーカーを置くかによって、食料(ジャガイモやトウモロコシ)のコストが変わります。さらに、上層から下層へ降りていくごとにもコストがかかり、この下降コストは「階段」を建てることで軽減できます。セカンダリーアクションでは、高司祭を移動させて特別な効果を使ったり、神カードを引いたり、戦士カードを引いたり、ノマドエリアから新しいワーカーを獲得したりします。ゲームの中盤には「祭り」が3回発生し、そのタイミングで寺院トラックの報酬や戦争エリアの多数派得点などを精算し、3回目の祭りが終わるとゲームは終了します。

引用元:https://arclightgames.jp/product/733twantin/

感想

「色付きワーカー」と「周囲タスク」の組み合わせが気持ちいい

タワンティン・スウユでまず気に入ったのは、ワーカーの色と周囲のタスクの組み合わせで、一手の価値が大きく変わる仕組みです。ワーカーを置いたマスの周囲には3〜4つのタスクが描かれていて、通常は1つしか実行できませんが、青や緑のような特定の色のワーカーを対応する色のマスに置くと、追加タスクが発生します。さらに、隣接する同色ワーカーがいると、また追加タスクが増えます。

たとえば、青いマスに青いワーカーを置き、周囲にも青いワーカーがつながるように並んでいると、それだけで3つのタスクを一度に実行できる可能性があります。もちろん、同じタスクばかり選ぶことはできず、できるだけ均等に配分しないといけないルールはありますが、それでも「この一手でここまでできるのか」という爽快感があります。

どの色のワーカーをいつどこに連れて行くかを考えるのは、まさに小さなパズルであり、毎手番の思考が楽しいポイントだと感じました。

盤面が「山の斜面に広がる文明」になっていく気持ちよさ

もう一つ印象的なのは、ゲームが進むほどボード上のワーカーがそのまま「地形の履歴」になっていくところです。上層に置かれたワーカーは原則としてそのまま残り、他のプレイヤーも同じコマを共有して使っていくため、上の方はだんだん埋まっていきます。その結果、自然と下層へと文明が広がっていき、階段を建てたり、コストを払いながら新しい段に降りていったりすることになります。

この感覚が、インカ帝国の段々畑や山岳都市のイメージと非常によくマッチしていて、「上から下へ文明が降りていく」というビジュアルと手触りが遊びながらしっかり伝わってきます。ただの抽象的なポイントサラダではなく、「なぜ下に行くほどコストが高くなるのか」というテーマ上の理由にも納得がいくので、ルールの重さが少し和らいで感じられました。

高司祭の位置とコスト計算が、悩ましくも程よいスパイス

高司祭の位置からの距離によって食料コストが変わる「ローミングコスト」と、段を降りるときの「下降コスト」。この2つのコストシステムが、ワーカーを置く場所選びにちょうどいい重さの判断を加えてくれます。高司祭がいるセクションの近くなら1食料で済むのに、反対側のセクションに置くと3食料かかる、といった差は決して無視できません。

セカンダリーアクションで高司祭を動かすこともできるため、次のメインアクションの下準備として司祭を移動させておく、というプレイも重要になります。このあたりの判断は、数字の計算ではなく、「どの方向に文明を伸ばすか」という地形的な感覚に近く、テーマとルールが気持ちよくつながっていると感じました。

視認性と最初の学習ハードルは確かに高いが、それを越える価値がある

正直に言うと、最初の1ゲーム目は「どこに何が描かれているのか」を把握するだけで精一杯になりがちです。ワーカーを置いたマスの周囲タスクは細かいアイコンで描かれているので、視力に自信がないと少し身を乗り出してボードを覗き込む必要があります。また、「このマスに置くと、何個タスクを選べるのか」というルールも、覚えるまでは混乱しやすい部分です。

ただ、一度「ワーカーの色+マスの色+隣接ワーカー数」という仕組みが体に入ってしまえば、その後は一気にゲームが軽くなります。むしろ、ボードがワーカーで埋まるほど、どこで大きなアクションを打てるかを探すのが楽しくなってくると感じました。インスト役がしっかりと例を示しながら教えられれば、このハードルは十分乗り越えられる範囲だと思います。

まとめ:重さとテーマがきれいにつながった、じっくり遊びたいインカ帝国ゲームです

タワンティン・スウユは、「ワーカーの色」「段々と広がるボード」「高司祭の位置」「多彩な得点源」といった要素が複雑に絡み合った、かなり骨太なユーロゲームです。一方で、その複雑さはただの情報量の多さではなく、インカ帝国というテーマとしっかり結びついているおかげで、「重いのにちゃんと意味のある悩み方ができる」作品になっていると感じました。

最初の数ラウンドは確かにハードルが高いですが、その壁を越えた先には、自分だけのインカ帝国を段々畑のように広げていく楽しさが待っています。Tシリーズが好きで、文明を育てる重めのゲームに魅力を感じるなら、タワンティン・スウユは間違いなくチェックしておきたい一本だと強く感じました。

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