Shut Up & Sit Downの「The Voyages of Marco Polo – Shut Up & Sit Down Review」の動画では、Matthew氏とQuentin氏がダイス配置ゲーム「マルコポーロの旅路」の魅力を、ユーモアを交えながら余すところなく紹介しています。
2015年発売ながら再販待ちとなった本作が、今買う価値があるかを解説する内容を、本記事ではすべてお届けします。
結論
「マルコポーロの旅路」は、個性あるキャラクター選択と毎回変わるルート配置がワクワクを生む一方で、ややテーマの深みやヴィジュアル演出が足りず、最先端のテーマ体験を求めると物足りなく感じる部分もあります。
軽快なダイス配置と問題解決を楽しみたい人に向いた一作です。
ゲームの概要
プレイヤーはヴェネツィアの商人となり、絹の道を旅して契約を達成し、キャラごとに与えられた特殊能力を駆使しながら報酬を獲得します。
全員同時にダイスを振り、その後順番に盤上のマスにダイスを配置。マスは交易品の獲得、契約受注、キャラ固有効果、移動、収入など多彩です。
既に埋まったマスに置く場合はコストを支払うルールもあり、常に選択肢と悩みどころが用意されます。
5ラウンドを経て、契約達成や移動で得た勝利点を最も多く獲得した人が勝利となります。


感想
コンポーネントとビジュアル
タイルやコマ、ダイスはしっかりとした質感で、ラウンドごとに変わるマス配置は新鮮です。しかし、動画で指摘されていた通り、都市名のアイコンが地域ごとに連動していない違和感や、マスのアートワークが全体に味気なく感じられる場面もあります。
キャラクターコマはユニークですが、どのキャラも同じような顔立ちで、せっかく選択したのに「見た目」での印象が薄いのは残念です。
ダイス配置と拡張要素
本作の核はダイスをスペースに配置するたびに直面するコストと報酬のジレンマです。マスが埋まっていても、ダイス目1つにつき1コインを支払えば置けるルールは、他の配置ゲームにない自由度を生み出します。
また、キャラクターによって再ロールや特定リソース獲得、契約優先などの能力があり、序盤に何を優先するかがはっきりする点も評価できます。
一方で、複数のリソース(コイン、ラクダ、交易品)が常に絡み合い、最適解を探すには慣れが必要です。
問題解決の楽しさ
Matthew氏が語っていたように、「お金がない」「契約が手元にない」「ラクダが足りない」といった問題をどう乗り越えるかが本作最大の醍醐味です。
例えば初手で香辛料マーケットに直行し、得た交易品をサマルカンドの能力でラクダに換え、さらにそのラクダを再ロールに使い、契約を達成して移動。そこから得た報酬で次の都市へ――という一連の流れはまさに快感そのものです。
問題が山積みのほどほどの苦労感が、解決できたときの達成感を強くしています。
テーマとのかみ合わせ
シルクロードを舞台にしたはずですが、「ポイントマシンを組み立てるだけ」と感じる瞬間も多いのが正直なところです。
動画でも「どの都市も勝利点に直結するだけ」「お金や交易品をVPに交換する理由が薄い」と指摘されていた通り、テーマとメカニクスの結びつきはやや希薄です。
もう少し「旅の苦労」「交易のドラマ」を演出する仕事がほしかったと感じました。
リプレイ性と学習コスト
マスの配置は毎回ランダムで使われるため、何度遊んでも違った悩みが生じるリプレイ性は確かに高いです。
しかし、ルールやアイコンの多さも相まって、新規プレイヤーには初回の学習コストがかなり高め。動画では「覚えるのに苦労した」とあり、何度かプレイしないとスムーズに運用できない点は留意が必要です。
他タイトルとの比較
動画内で言及されていた「コンコルディア」や「グレート・ウェスタン・トレイル」のように、少ないルールで濃いテーマ体験を提供する作品と比べると、本作はルール量に見合うだけの「世界観の厚み」が不足している印象があります。
機械的にポイントを稼ぐメカニクスは優秀ですが、同じ時間を使うならテーマの没入感が強いタイトルを選びたくなる人も多いでしょう。
総合的な評価
「マルコポーロの旅路」は、ダイス配置の自由度と問題解決の快感を存分に味わえる良作です。キャラクター選択やランダム配置によるリプレイ性も高く、慣れてくればテンポ良く楽しめます。
ただし、テーマの深みや演出、ヴィジュアルの統一感を求める人にはやや物足りないかもしれません。エンジン構築よりも毎回違うジレンマを楽しみたいという方におすすめできる一方で、「物語性重視」「アート演出重視」のプレイヤーは検討が必要です。
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