最重量級の紙ペンゲーム「ジ・アナーキー」ガチ勢レビュー

最重量級の紙ペンゲーム「ジ・アナーキー」ガチ勢レビュー 海外ボードゲーマーレビュー要約

中世イングランドの混乱と攻防をテーマにした『ジ・アナーキー』は、紙ペンゲームの限界を超えた没入型エンジン構築体験を提供します。本記事では、人気YouTubeチャンネル「Board Game Hangover」のレビューをもとに、このゲームの魅力を詳細に紹介します。

結論:ソロでもマルチでも濃密、史上最重量級の紙ペンゲーム

『ジ・アナーキー』は、かつての名作『ハドリアヌスの長城』の精神的続編といえる作品です。膨大な選択肢とリソース連鎖によって生まれる“無限コンボ”感があり、1回のプレイで大きな満足感を得られます。中でもソロキャンペーンの充実度が圧巻で、紙ペンゲームながら没入感と成長感を同時に味わえる希少な一本です。

ゲームの概要

ゲームの舞台は西暦1135年、イングランド。「王位継承戦」を背景に、プレイヤーは拠点を築き、敵襲からの防衛や経済発展を行いながら、最も多くの勝利点を稼ぐことを目指します。プレイヤーはカードやダイスで得たリソースを活用して、複数のシート上に建築・兵士配置・資源管理などを同時進行的に記入。

ソロ用シナリオブックには20種類の異なるチャレンジが収録されており、それぞれ異なる条件や勝利条件が設定されています。マルチプレイでは全員が同時進行で進め、ほぼソロプレイ感覚で競い合う形式です。

※画像は Renegade Game Studios公式サイトの『The Anarchy』紹介ページ より引用しています。画像の著作権はRenegade Game Studiosに帰属します。

The Anarchy
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詳細レビュー

1. コンボエンジンの快感と爆発力

『ジ・アナーキー』の最大の魅力は、1つのアクションが連鎖し、新たな資源や行動を生むという、“コンボ感”の強さにあります。リソースを使って記入→新たな資源や行動がアンロック→さらに別のアクションが可能、という“雪だるま式”の展開がゲーム中ずっと続きます。

レビューでも「1つの資源から5ステップ先までつながっていく気持ちよさ」が語られ、プレイ中のテンションが常に高い状態を維持できると絶賛されていました。

2. ソロキャンペーンの圧倒的ボリューム

20種類のソロチャレンジが収録されたキャンペーンブックは、単なるスコアアタックではなく、地図や目標カードが異なる“物語的な変化”をもたらします。シナリオごとに使用する攻撃デッキや勝利条件が異なり、「今回はどのリソースを優先すべきか」という戦略が毎回問われます。

レビュアーは「ソロルールを使って複数人で同時に競い合う方法がベスト」と提案しており、ソロの拡張性とマルチの盛り上がりを両立する設計が評価されています。

3. 防衛と経済のジレンマ

各ラウンドごとに敵であるマチルダ軍が拠点を襲撃してきますが、その内容は完全には公開されず、“部分的な情報”に基づいて防衛行動を取る必要があるのがポイントです。資源を守備に使うか、経済基盤の強化に回すかという選択は非常に悩ましく、ゲーム全体を通して大きな緊張感を生みます。

「攻めに回ると得点チャンスがあるが、守りを怠るとペナルティが大きい」というバランスは、プレイヤーの性格や戦略性が如実に反映される要素です。

4. コンポーネントとUIの美しさ

記入用シートは丁寧に設計されており、記述の流れやリソースの連動が直感的に理解できる点も高評価。背景の色合いや素材感も、紙ペンゲームにありがちな“事務感”を払拭しています。

レビュアーは「白と茶のシートがまるで中世の羊皮紙のようだ」と表現し、アート的な没入感の高さを称賛していました。

5. 懸念点と対象プレイヤー

良くも悪くも、『ハドリアヌスの長城』に似すぎている点は意見が分かれるところです。シート構成やループ性、セットアップの重さが前作と非常に近く、既プレイ者には“目新しさに欠ける”印象があるかもしれません。

一方、同作を未プレイであれば、完全に“新体験”として受け取ることができ、ボリュームと完成度の高さは保証されています。

まとめ:『ジ・アナーキー』は「書く」ゲームの新境地

『ジ・アナーキー』は、エンジン構築の快感、緊張感のある防衛フェイズ、充実したソロ体験のすべてを紙ペンで実現した、まさに異次元の1本です。プレイ時間も90~120分と長めですが、それに見合うだけの満足感を確実に与えてくれる設計です。

ユーロ系ゲームが好きで、ソロでも楽しめるゲームを探している方には、間違いなくおすすめできる作品です。

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