フォレストシャッフルは、小箱カードゲームという見た目からは想像できないほど、可愛さとえげつなさが同居した中毒性の高いゲームです。
この記事では、Shut Up & Sit Down の動画「WOODS GOT THE GOODS (Forest Shuffle Review)」からフォレストシャッフルの魅力とプレイ感を、実際に遊んだ立場から詳しくレビュー要約します。
ルールの細かい説明ではなく、「なぜ何度も遊びたくなるのか」「どこが心をつかんで離さないのか」に焦点を当てて、フォレストシャッフルというゲーム体験をじっくり掘り下げていきます。
結論:優しい見た目をした、キレ味のある森づくりゲーム
フォレストシャッフルは、一見すると「動物や木を並べる、ほのぼの系カードゲーム」に見えます。しかし、実際に遊んでみると、その印象は良い意味で裏切られます。手札管理のジレンマ、共通の場をめぐる駆け引き、カードの取り合い、そして相手の計画をさりげなく崩す快感がぎっしり詰まっていて、かなり鋭いゲームです。
それでも重く感じないのは、テーマとデザインがとても柔らかく、ルールの入り口もシンプルだからです。「カードを2枚引く」か「カードを1枚プレイする」という基本の選択だけでゲームが進みます。その上に、カード同士のコンボや、共通の場である“森(クリアリング)”の動きが重なり、遊べば遊ぶほど味が出る構造になっています。
結論として、フォレストシャッフルは「見た目は優しいのに、プレイ感はかなりスパイシー」というギャップがたまらないゲームです。軽いノリで遊び始めたはずが、気づけば「もう一回やろう」と言ってしまうタイプの作品だと感じています。
概要
| 参加人数 | 2~5人 |
| プレイ時間 | 40~60分 |
| 対象年齢 | 10歳から |
| 発売時期 | 2023年~ |
| メカニクス | セットコレクション/ハンドマネジメント/ドラフト |
| ゲームデザイン | コッシュ(Kosch) |
フォレストシャッフルは、2〜5人で遊べるカードゲームです。プレイヤーは自分の前に「森(タブロー)」を作っていきます。手番では、次のどちらかを行います。
・共通の場(クリアリング)か山札からカードを2枚引く
・手札からカードを1枚、自分の森にプレイする
最初は木のカードしかプレイできません。木がないと、動物たちが住む場所がないからです。木を植えると、クリアリングに新しいカードが1枚追加され、森に新たな生き物が現れます。カードをプレイするにはコストがあり、手札から何枚かのカードを捨て札として支払います。その捨て札は、すべてクリアリングに表向きで置かれ、他のプレイヤーが拾える状態になります。
カードには、木、動物、植物、キノコなどがあり、木の上下左右や裏側に差し込むように配置していきます。カードごとに得点条件や特殊効果があり、組み合わせ次第で大きな得点を狙えます。また、クリアリングにカードが10枚以上たまると、その場のカードがすべてゲームから除外されるというルールがあり、これがゲームに強い緊張感とドラマを生み出します。



感想
見た目はふんわり、手触りは鋭い。このギャップがたまらない
フォレストシャッフルを手に取ったとき、まず目に入るのは、キツネや鳥、ウサギ、シカなどが描かれた、柔らかい雰囲気のイラストです。森の中に動物たちが暮らしている、穏やかな世界観。正直なところ、最初は「自分の好みのテーマではない」と感じていました。
ところが、実際に遊んでみると、その印象は一気にひっくり返ります。カードを木の上下左右に差し込み、動物たちが木の陰から顔を出すように配置していく感覚は、驚くほど気持ちが良いです。鳥を木の上に並べ、シカの家族が木の横から覗き、蝶が空を舞い、ウサギが森のあちこちに跳ね回る。視覚的な満足感がとても高く、「自分だけの森を作っている」という実感があります。
普段「かわいい系のゲームはあまり刺さらない」と感じるタイプでも、このゲームのタブローの出来上がり方には心をつかまれます。カードを差し込むたびに、森が少しずつ賑やかになっていく。その過程が、見た目だけでなく、手触りとしても心地よいのです。
手札管理とクリアリングが生む、甘くないジレンマ
フォレストシャッフルの本当の面白さは、手札とクリアリングの関係にあります。カードをプレイするには、手札からカードをコストとして捨てなければなりません。その捨て札はすべてクリアリングに置かれ、他のプレイヤーが拾える状態になります。
ここで生まれるのが、「自分が欲しいカードを、相手に渡したくない」というジレンマです。例えば、自分が集めているトカゲのカードを持っているとします。同時に、他のプレイヤーもトカゲを集めているのが見えている。そうなると、そのカードをコストとして捨てると、相手に拾われてしまうかもしれません。
しかし、手札には上限があり、いつまでも抱え込んでおくことはできません。プレイしたいカードはある、コストも必要、でも捨てたくないカードばかり。結果として、「仕方なく捨てたカードが、相手にとって最高のプレゼントになる」という場面が頻繁に生まれます。
連続手番と特殊効果が生む、“したたかな一手”の快感
フォレストシャッフルのカードには、さまざまな特殊効果がついています。カードをプレイしたときに追加でカードを引けたり、特定の種類の動物をコストなしで出せたり、そして何より強力なのが「もう一度手番を行える」効果です。
この「連続手番」が本当に気持ちいい。例えば、1手目でカードをプレイし、コストとして大事なカードをクリアリングに捨てます。通常なら、そのカードは他のプレイヤーに取られてしまうリスクがありますが、連続手番を使えば、自分の2手目で即座にそのカードを拾い直すことができます。
「誰にも触らせない、自分専用のハリネズミ」「自分だけが知っているおいしいカード」という感覚があり、うまく決まったときの満足感はかなり高いです。こうした小さなテクニックの積み重ねが、ゲーム全体の深みにつながっています。
クリアリングの“全消し”ルールが生む、残酷で美しい瞬間
フォレストシャッフルの中でも特に印象的なのが、クリアリングの「全消し」ルールです。クリアリングにカードが10枚以上たまると、その場のカードがすべてゲームから除外されます。山札に戻るのではなく、本当に「消える」のです。
このルールがあることで、クリアリングは常に緊張感に満ちた場所になります。「次の手番であのカードを取りたい」と思っていても、誰かが意図的にカードを増やして全消しを起こせば、そのカードは二度と戻ってきません。
特に印象的なのは、他のプレイヤーが欲しがっているカードがクリアリングにあるときに、あえてカードを追加して全消しを狙う動きです。「あのキツネが欲しいんだろ?じゃあ森ごと消してやるよ」という、冷酷だけれどどこか美しい一手が成立します。
この瞬間は、まさに「自然の厳しさ」を感じさせる場面でもあります。豊かになりすぎた森が、一気にリセットされる。そのカオスとリズムが、ゲーム全体をただのセットコレクションではなく、“生態系の揺らぎを楽しむゲーム”に押し上げていると感じます。
洞窟という“自分だけの湿った穴”が生む、静かな優越感
フォレストシャッフルには、自分専用の「洞窟」というエリアもあります。ここにはカードを裏向きで置いておくことができ、ゲーム終了時に1枚につき1点としてカウントされます。さらに、洞窟に入れたカードは、他のプレイヤーからは見えません。
この洞窟が、とても良いスパイスになっています。序盤にカードを洞窟に送り込んでおくと、そのカードはゲームから消えたも同然です。自分だけが「何を隠したか」を知っていて、他のプレイヤーはそれを知らないままプレイを続けます。
その結果、他のプレイヤーが「このカードはまだ山札にあるはず」と思って動いているのを横目に、「いや、それもう洞窟にしまってあるんだよな」と静かにほくそ笑む瞬間が生まれます。表向きの駆け引きだけでなく、水面下の情報差が効いてくるのも、このゲームの面白さの一つです。
優しさと意地悪さのバランスが絶妙なゲームデザイン
ここまで読むと、「かなり意地悪なゲームなのでは?」と思うかもしれません。実際、相手の欲しいカードを消したり、クリアリングを全消ししたり、洞窟にカードを隠したりと、やろうと思えばかなり攻撃的なプレイができます。
それでもフォレストシャッフルが重く感じないのは、ゲーム全体が“サポート寄り”にデザインされているからだと感じます。カードの効果は、相手を直接攻撃するものではなく、自分の森を強くしたり、カードの出し方を工夫したりするものが中心です。
また、カードには重複も多く、「1枚消されたらもう終わり」という状況はそこまで多くありません。相手の動きを邪魔する行為も、実際には「自分の満足感のため」という側面が強く、ゲーム全体を壊すほどの理不尽さはありません。
その結果、フォレストシャッフルは「やろうと思えばかなり意地悪に遊べるけれど、そうしなくても十分楽しい」という絶妙なバランスに落ち着いています。軽い気持ちで遊びたい人も、ガチで読み合いをしたい人も、それぞれのスタンスで楽しめる懐の深さがあります。
ルールの入り口は優しく、奥行きは深い
フォレストシャッフルのルールは、驚くほどシンプルです。「カードを2枚引く」か「カードを1枚プレイする」。基本はそれだけです。細かい効果やコンボは、遊びながら自然と覚えていけます。
このシンプルさのおかげで、普段あまりボードゲームを遊ばない人にも勧めやすいと感じます。「木の後ろに動物を差し込む」「オオカミはシカと関係がある」といったテーマ的なつながりが直感的で、説明に長い時間をかけなくても、感覚的に理解してもらいやすいです。
一方で、カードの組み合わせやタイミング、クリアリングの管理、洞窟の使い方など、考えどころはたくさんあります。「入口はやさしく、奥行きは深い」という、理想的なゲームデザインだと感じます。
遊び終わったあと、「今度は別の動物で攻めてみたい」「次はもっとクリアリングをコントロールしたい」と自然に思えるゲームです。森の中で動物たちを並べているだけなのに、気づけば相手との静かな読み合いに夢中になっている。フォレストシャッフルは、そんな不思議な魅力を持った一作です。
↓の記事で拡張について詳しくレビューしています!


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