『エンパイア・オブ・ザ・ノース~北方の開拓者たち~』徹底レビュー

『エンパイア・オブ・ザ・ノース~北方の開拓者たち~』徹底レビュー ハンドマネジメント

エンジンビルド系ボードゲームが好きでしたら、「エンパイア・オブ・ザ・ノース」は一度じっくり遊んでみたい作品だと強く感じます。『インペリアル・セトラーズ』の流れを汲みつつも、より自由度が高く、レース感の強いゲーム性に仕上がっているのが大きな特徴です。今回の記事では、動画「Empires of the North – Final Thoughts」の内容をもとに、このゲームの魅力と遊び心地を、丁寧にまとめていきます。

元になった動画では、『Imperial Settlers』の続編としての位置づけや、各勢力ごとの個性、ソロモードの充実ぶりなどが詳しく語られていました。この記事では、「エンパイア・オブ・ザ・ノース」がどんなゲームで、どこが面白くて、どこに小さな不満があるのかを、ボードゲーム好きの視点から整理して紹介していきます。

結論:自由度の高いエンジンビルドとレース感がたまらない一作です

結論として、「エンパイア・オブ・ザ・ノースは、インペリアル・セトラーズよりも自分好みのエンジンビルドゲーム」だと感じています。固定ラウンド制ではなく、「25点に到達したらゲーム終了」というレース形式になっているため、常に点数の伸びを意識しながらエンジンを組み上げていくプレイ感がとても心地よいです。

また、攻撃要素(レイズトークン)によるプレイヤー間の直接攻撃がかなり弱められており、基本的には自分のエンジンを伸ばすことに集中できます。もちろん、相手の重要な建物を一時的に止めることはできますが、それよりも「船にトークンを乗せて島を探索・征服する」方が圧倒的に有効で、自然と攻撃より発展に意識が向かうデザインになっています。

さらに、各勢力(クラン)の個性が強く、貯蓄や投資で一気に点数を爆発させる銀行系の勢力など、プレイするたびに違うコンボや動き方を試したくなります。ソロモードも専用のイベントやシナリオが用意されていて、むしろ「ソロの方が濃い」と感じるくらい作り込まれているのも印象的です。

細かい不満としては、「レイズトークンが余っても点数にならない」「覚えるべき小さなルールが多い」「プレイヤーエイドが欲しい」といった点はありますが、それでも全体としては非常に完成度の高いエンジンビルド&レースゲームだと感じています。

概要

参加人数1~4人
プレイ時間45~90分
対象年齢10歳から
発売時期2019年~
メカニクスワーカープレイスメント/ハンドマネジメント/プレイヤー別固有能力
ゲームデザイン ジョアンナ・キジャンカ(Joanna Kijanka)/イグナシー・ツェヴィツェック(Ignacy Trzewiczek)

「エンパイア・オブ・ザ・ノース」は、『Imperial Settlers』の続編にあたる作品で、プレイヤーはそれぞれ異なるクランを担当し、自分の帝国を発展させていきます。基本的な方向性は「エンジンビルド+資源変換+得点化」ですが、前作と大きく違うのは、ラウンド数が固定ではなく、「誰かが25点に到達したらゲーム終了」というレース形式になっていることです。

ゲーム中は、カードをプレイして建物や施設を増やし、資源を生み出し、それを別の効果に変換しながら、少しずつエンジンを強化していきます。終盤になると、うまく組み上がったエンジンが一気に回り出し、1ターンで9点から28点まで一気に跳ね上がるような「爆発ターン」が生まれることもあります。この「準備して、溜めて、一気に解放する」感覚がとても気持ちよいです。

また、レイズトークンを使って相手の建物を一時的に止めることもできますが、多くの場合、それを攻撃に使うよりも、船に乗せて遠くの島を探索・征服する方が有効です。島を取ることで、新たな効果や得点源が増え、自分のエンジンがさらに強化されていきます。

ソロモードでは、専用のイベントやシナリオが用意されており、「今回は飢餓が厳しい」「今回は特定の条件が重くのしかかる」といった形で、毎回違うプレッシャーの中でエンジンを組み立てていくことになります。これにより、同じクランでも全く違うプレイ感を味わえるようになっています。

感想

エンジンが「爆発」する瞬間がたまらない

このゲームで一番好きなのは、やはりエンジンが一気に回り出す瞬間です。序盤から中盤にかけては、カードを出し、資源を集め、少しずつ効率を上げていく地道な時間が続きます。しかし、あるタイミングで条件が揃うと、一つのアクションが別の効果を呼び、その効果がさらに別のカードを起動し……と、連鎖的にコンボがつながっていきます。

銀行系のクランで、貯蓄と投資を積み重ねておき、あるターンで一気に得点化して9点から28点まで跳ね上がったというエピソードは、とても印象に残っています。こうした「準備してきたものが一気に報われる」瞬間は、エンジンビルド好きにはたまらない魅力です。

前作よりも自由で、縛りが少ないプレイ感

『インペリアル・セトラーズ』と比べると、「エンパイア・オブ・ザ・ノース」はかなり自由度が高いと感じます。前作では、建てる場所やスロット、配置ルールなど、ある程度の「型」がありましたが、本作ではそこまで厳しい制約がありません。「とにかくカードを出して、資源を回して、点数を伸ばす」という感覚が強く、良い意味で「枠に縛られない」エンジンビルドになっています。

また、ゲーム終了条件が「ラウンド数」ではなく「25点到達」なので、「あと何ターンあるか」ではなく「あと何点伸ばせるか」を常に意識することになります。このレース感が、プレイ全体にほどよい緊張感を与えてくれます。

攻撃よりも発展に向かうデザインが心地よい

レイズトークンの扱いも、このゲームの性格をよく表しています。トークンを使えば、相手の重要な建物を一時的に止めることができますが、多くの場合、それよりも「船に乗せて島を取りに行く」方が得点的にもエンジン的にもメリットが大きいです。

その結果として、「相手を壊すより、自分を伸ばす方が得」という構図になっており、自然と攻撃的なプレイよりも、発展重視のプレイスタイルになっていきます。前作で「破壊要素がちょっと重い」と感じていた自分にとって、このバランスはとても心地よいです。

ソロモードの作り込みが異常に濃い

もう一つ印象的なのが、ソロモードの作り込みの濃さです。専用のイベントやシナリオが用意されていて、「今回は飢餓が厳しい」「今回は特定の条件が重くのしかかる」といった形で、毎回違うプレッシャーの中でエンジンを組み立てていくことになります。

正直なところ、「ソロの方が濃いのでは?」と思うくらい、ソロ用の仕掛けが充実しています。マルチプレイだけでも十分に完成されたゲームですが、ソロを遊ぶと「この要素、マルチにも持ち込みたい」と感じるほどです。

細かい不満:レイズトークンと情報量の多さです

一方で、いくつか気になる点もあります。まず、レイズトークンが余っても点数にならないことです。エンジンによっては、レイズトークンを大量に生み出すものもありますが、船の数や島の状況によっては使い切れないこともあります。そのとき、トークンが点数にならないため、「余らせるくらいなら相手を攻撃するか」という方向に傾きやすくなります。

個人的には、「3個で2点」など、何らかの形で点数に変換できるルールがあれば、攻撃に寄りすぎず、より柔らかいプレイ感になったのではないかと感じています。

また、ルールの「小さな抜け」が多く、覚えるべき細かい処理が多いのも気になります。例えば、「畑系のカードを建てた瞬間に、すぐ収穫分の資源がもらえる」といったルールは、カード自体には書かれておらず、忘れやすいです。こうした細かいルールを補うプレイヤーエイドが同梱されていれば、もっと遊びやすかったと思います。

コンポーネントと収納の満足度が高いです

コンポーネント面では、全体的にかなり満足度が高いです。カードのアートワークは勢力ごとの雰囲気がよく出ており、インサートやトレイもよく作り込まれていて、きれいに収納できます。クランごとのトークンやカードをまとめて管理しやすく、遊ぶたびに「ちゃんと作られているな」と感じます。

細かいところでは、「プレイヤーカラーと得点マーカーの色が一致していない」といった小さな違和感もありますが、ゲーム体験そのものに大きな影響はありません。ただ、こうした部分まで揃っていると、より気持ちよく遊べたとは思います。

まとめ:エンジンビルド好きなら一度は触れてほしい北方帝国のレースです

「エンパイア・オブ・ザ・ノース」は、自由度の高いエンジンビルドと、25点を目指すレース感が絶妙に噛み合ったゲームだと感じています。前作の良さを受け継ぎつつ、「破壊より発展」「固定ラウンドよりレース」「制約より自由」という方向に振り切ったことで、自分の好みにかなり近い作品になっています。

各クランの個性も強く、同じ勢力でもプレイのたびに違うコンボやルートを試したくなります。ソロモードも濃く作り込まれていて、「一人でじっくりエンジンを回したい」という欲求にも応えてくれます。

レイズトークンの扱いや細かいルールの分かりにくさなど、いくつかの小さな不満はありますが、それを差し引いても、「エンパイア・オブ・ザ・ノース」は長く遊び続けたくなるタイプのエンジンビルドゲームだと感じています。エンジンビルドが好きで、前作に少し窮屈さを感じていたなら、この北方帝国のレースはきっと刺さるはずです。

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